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共同開発と知的財産

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 自動車業界のみならず、電機メーカ、材料メーカなど全産業を巻き込んだ自動運転の話題が尽きません。
 自動車は普及したインフラですので全世界共通の規格が必要(あった方が有利!?)です。長い時間をかけて築き上げた一大産業のプラットフォームを変えようというのですから、世界的に協力体制を構築した方が良いというのは自然の考えです。

 国外のメーカ、別個のメーカが共同で開発という仕事をする場合、本来は密室で行われるべき開発時の秘密をどのように守るかが大きな課題です。何の策もなく手の内を晒せば相手の会社に先んじられてしまいますし、かといってなんでもかんでも秘密と言っていたら共同開発のメリットそのものが怪しくなってしまいます。駆け引きは大切ですがそれだけでは利益は得られません。

 多くの場合、二つの対策を講じるかと思います。一つは企業間で締結する契約で縛ることです。つまり、秘密保持契約(NDA:Non-disclosure agreement)です。この共同開発で知得した情報は口外無用ということです。実際には秘密保持だけでは不十分ですので、発明等の成果をどのように分け合うかについても明確に取り決める必要があります。

 もう一つは特許出願です。このとき、相手の企業に知られてからでは新規性、進歩性に疑いが生じてしまいますので”知られる前に”出願します。具体的には、この共同開発の過程で何らかの課題を克服するために新規の技術を提案しようとする際には、まず先にその技術にかかる発明を出願してしまいます。そうすることで相手企業をけん制することができますし、それが良い発明であれば自分の会社が優位に立てるはずです。実のところ、それが本当に相手の会社が想到しえないアイデアなのかどうかは分かりません。もしも相手の会社が先に出願していたとしたら出願費用が無駄になってしまうでしょう。

 ですが先んじて出願するということはさらに別の大きなメリットがあります。それはどちらが先にそのアイデアを思いついたがの証明になるからです。発明の帰属が明確になります。どうしてそれが大切なのでしょうか?

 共同開発の場面では往々にして、あるアイデアについてどちらが発明者かという議論が生じます。ブレインストーミングのようなケースを考えると分かり易いでしょう。思い付きで話したことが実は重大なポイントを含んでいるかも知れません。ですが、あとからそのアイデアは誰の発案かと言い始めるととてもあいまいです。誰が最初に発言したかが分かればそれに越したことはありませんが、そのアイデアは共同開発が始まる前から社内にあったと言っても言われても後の祭りになり兼ねません。

 出願をする=公証力を担保する、という効果です。出願してもすぐには公開されませんし、権利化も考えているのであれば、可能な限り出願して出願日を確定させるべきかと思います。
 とはいっても金銭的、時間的に難しい場合が多いと思います。共同開発に入る前に、発明と思われるアイデアが出たときにどのように扱うかを相手企業との間で合意しておくことで、少なくともどちらのアイデアであるか疑義を生じることを防げる可能性は高いと考えます。共同開発による直接の収益ばかりでなく長期戦となる知的財産の活用も留意したいところです。

自動運転で世界連合 トヨタ・VWなど27社:日本経済新聞

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