特許法等で「発明」と定義される言葉がありますが、そもそも発明とはどういったことを言うのでしょうか?
この言葉がイメージするところは人それぞれで、どれが正しいということはありません。おそらくは時代を変えてしまうような今までにない大変なモノを作るようなイメージを抱くのではないでしょうか。
社会にインパクトを及ぼすということでは、発明と同じような言葉で「発見」というものがあります。もちろん「発明」と「発見」は別物ですが、似て非なるものです。
ここでは特許法で定義する「発明」の説明をするつもりはありません。発明をするためにどのような考え方をすべきかの一例を示したいと思います。
添付のリンクの記事はIoT(Internet of Things)のための無線の新規規格について触れています。産業の次の主役と目されているIoTですがモノをインターネットにつなぐためには産業的、商業的に解決しなければならない課題があります。端末の数が多い、低消費電力、かつ、有限資源である無線を使うための解法として、通信速度を犠牲にしてフリーメンテナンス、低コストを実現するというものです。要は国際的なデファクトスタンダードの争いです。これでIoTのすべてがカバーできるわけではありませんが、センサー周りを構築するには有力となるでしょう。
先ず、我々が発明を考えるとき、こういった規格の部分の仕組みの発明をする必要はありません。キーポイントとなる技術が発想できる可能性がないとは言えませんが、研究費をかけて開発している大手企業にかなうはずはありませんし、そもそもデファクトスタンダードを獲得するのは容易ではありません。誰も使ってくれない技術は、たとえ優れていても売り上げにはつながりません。我々はあり物を使えばよいのです。
考えるべきは、この通信規格が広まったときに、これを使って何ができるのか、できるようになるのか、です。
この通信規格は今までにない特性を持つがゆえに大手が血眼になって開発競争するような技術ですから、これを使った製品やサービスは世の中にはないはずです。先ずは、これがあればどんな製品なりサービスが実現できるかを「発見」することから考えましょう。
このとき”採算”のことは考えないことです。コストの問題は技術革新によりいずれは克服できます。発見した新製品や新サービスが魅力的でありさえすれば、技術開発に時間を要したとしても必ずスタンダードを取れるはずですし、自身が実施しなくても誰かが事業化してくれるはずです。特許権などの権利は足が長い権利と考えて、長い目で考えるべきです。
そして、その「発見」(=アイデア)を守るために「発明」として咀嚼します。これは発見をアイデアのまま保護するのが難しいからです。人の頭の中にある漠然としたアイデアは外郭が定まらないため、その概念を技術的に書き表します。前述したように、あり物の技術を使えるのであればただ使えば良くて、何を(例えばデータ)何が(例えば端末で)どのように(例えば統計データを取る、それをどう判断する)ことを順序立てて表します。権利を得るためには自然法則を利用するように書き記す必要があるからです。
このステップで注意することは、事業化した仕組みや、発想したサービスのみが「発明」ではないということです。それはあくまで一例(=実施例、実施形態)であって、「発見」した発想はさらに広い利用が可能かも知れません。ここから先はケースバイケースですのであらゆるケースを想定して洗い出していく努力が欠かせません。
そういうように考えていくとアイデアの不要な部分がどこで、どの部分が不可欠な概念なのかが段々と洗練されていき、その「発明」の必須要件が見えてきます。出願する際には、この必須要件を核として権利化することで抜け道や漏れのない広い権利を取得することができるのです。
蛇足ではありますが、自然法則でも物質でも「発見」しただけでは「発明」にはなりません。なぜなら実際に商えないようでは、学術的な意義はあったとしても産業的な価値がないからです。アイデアは、それをどう実現するか、どう扱うのかを常にペアで考えなければなりませんし、そうすることでより強い権利とすることができます。このことは優れた技術を積極的に公開させ産業発達に寄与するという特許法や実用新案法の立法趣旨にも合致します。
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