日本工業規格(JIS)に改訂の動きがあるようです。
日本工業規格は一般にJISと省略されて呼ばれますが、こちらの方が良く耳にするかも知れません。他にも日本農林規格(JAS)という規格もありますが、”工業”か”農林業”かという違いがあります。
JISを改訂しようとするモチベーションはIoTのコンセプトの反映と、民間の意思を取り込みたいとの理由とのことです。国として基準を制定する必要はあるものの、もはや民間の英知が産業界の発展に必須となってきた、つまり民間の側に移ってきた証といえるでしょう。
どのような改訂の中身となるかはまだまだ未知数ですが、変化のあるところに契機があると考えます。以前にも記したように(「発明の発想法」)標準となる規格の内容自体は受け入れ、それで何ができるのかを考えてみるべきかと思います。
この工業規格というものを知的財産という観点で考えたとき問題が生じることがあるのでは、と気付いた方もいらっしゃるかと思います。それは国として広く従うことを期待する規格であっても、そこに技術的な事項を含む以上、何らかの知的財産が含まれる可能性が高いのです。これは各種の技術や部品のデザインなど、すでに企業や個人の特許あるいは著作権が存在する場合があるということです。このことはディファクトスタンダート(事実上の標準規格)などではなく、従うことを半ば強制されている国家標準規格であれば極めて重要な憂慮すべき観点です。
では実際にはどのように折り合いをつけているかというと、たとえば既得権者にRAND(Reasonable And Non-Discriminatory)もしくはFRAND(Fair, Reasonable And Non-Discriminatory)という誰にでも「公平で、合理的、かつ非差別的」にライセンスすることを表明してもらいます。これは、その規格の実施を担保するために行われます。もちろん公的規格ならばなおさら誰でも無償で実施できるのが望ましいのですが、それでは既得権者の利益を不当に損なうという理由で認められません。使いたい人には妥当な条件で使わせてやって欲しいというニュアンスです。
ディファクトスタンダードのような場合、規格によっては無償許諾を条件としたものもあります。それに不服であればその条件を承諾しなくても構わないのですが、規格策定者としては広範な実施に不都合があるため、その権利範囲を規格から外すように修正するのが普通です。
広く使われることで利益を生む知的財産権ですので、そうなれば権利を保有していても利益に結び付かないこととなり、ひいては既得権者・産業界ともに利益を害することになるでしょう。規格の策定とはこういったぎりぎりの駆け引きを経て制定されます。
JIS、民間主導で:日本経済新聞
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