著作者と著作物を守る著作権法の目的は著作権法第一条に規定されています。
昔には著作物といっても文芸書か社名といった商標ぐらいだったのだと思います。その昔、文章は書籍の形でしか流通することはなく複製しようにも部数に応じてそれなりの金銭を要したと考えられます。または誰か他の人の文章を自身の名前で出版したとしても、それを盗用であることは知識のある人には分かるのではなかったかと思います。つまり金儲けも盗用についても、さほど割の良い所作ではなかったと考えられます。
著作権法の規定もそれほど複雑ではなかったのです。
しかしながら、これを現代に当てはめるとどうでしょうか。
成果物の形も多種多様、デジタルの形で成される成果物も多くなりました。改変や複製も簡単にできるようになっています。
そしてインターネットと、その上で提供されるSNSのようなサービスも増えました。
その結果、成果物が書籍の形で流通していたときと比較して、格段に拡散しやすくなりました。加えて流通経路も特定されにくい状況となっています。
こういった時代の変化を受けて複製権や公衆送信権といった権利の規定が細分化されました。新たな社会構造の変化と事件動向に応じて、これからもどんどん改正されていくものと思われます。知的財産権関連法の中でも、著作権法の改正は近年頻繁に行われています。
著作権法の改正は、もちろん法の目的を達成するために行われています。法の目的は「著作者等の権利の保護」によって「文化の発展に寄与」することでした。ここから分かるのは、著作権法は著作物を守る法律ではなく著作者を守る法律であるということです。ちなみに”著作者等”となっているのは著作隣接権者も含むからです。
著作権法では著作者を守るために、著作者人格権と財産権の二つの側面から著作物を保護します。前者は著作者の思想や感情をありのまま伝えることを保証することであり、後者は創作物に財産としての所有を認め他人の改変・複製による価値の減殺防止と譲渡を担保しました。財産の価値を認めることは、商取引上の価値を創作物に与え、著作者の収入を確保することに他なりません。つまり著作者の独創的な主張・表現を保証するとともに、生活の糧を不当に侵食されることがないようにすることだと言えます。
著作者から見たとき、デジタル化、ネットワーク化が進んだ現代社会においてもっとも憂慮されるべき課題を担う法律と言えます。
元に戻って、著作権法の最終目的は何だったでしょうか?
「文化の発展に寄与する」ことでした。立法趣旨では、著作者を保護することで自由闊達な創作意欲が刺激されて文化的な活動が活発になるという理屈です。
著作者保護とは言うなれば憲法で謳う基本的人権に属するもので、著作権法は基本的人権を具現化するために民法の特別法として設けられた法律です。基本的には民事の事柄を扱う法律なのです。よって国が個人の思想や表現を弾圧することを防止するといった観点はありません。とすれば文化発展にとっての障害要因とは、いったい何なのでしょうか。
あくまで私見ではありますが、こういう趣旨にもとづく著作者の保護が本当に「文化の発展」につながるのか、この点については正直よくわかりません。