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著作権侵害

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 古くて新しい問題である著作権侵害について、音楽教室での演奏がそれにあたるのかどうかで議論が分かれています。

 営利を目的とした音楽教室での楽曲を演奏することに対する争点の一つは著作権第二十二条(上演権及び演奏権)です。

 上演や演奏は改めて説明する必要はないと思います。音楽教室であれば楽曲を演奏しないことには練習になりません。また、先生が手本として演奏することは上演することに他なりません。

 では、何が争点となっているのかと言えば、”公衆”という文言や、音楽教室で演奏されているその”目的”です。
 なぜそれらが重要なのでしょうか。それを説明するために前出の著作権法第二十二条と第三十八条の条文を見る必要があります。

 第二十二条には”公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として”とあります。これを「公に」と呼びます。”直接見せ又は聞かせる”点についてはその通りですが、音楽教室での演奏が公かどうかを考えなければなりません。

 ”公”が成立するには、それが”公衆”に対する演奏か、”直接聞かせること”を目的としているか、の2つ要件が必要です。
 ”公衆”については受講の契約をした教室に集う受講生にだけと考えるといささか異なるようにも見えます。そして直接聞かせることが目的なのかについては、私見ではありますが少なくとも先生は生徒に聞かせるために演奏していると解釈されると考えます。

 著作権料徴収側の見解では、前者はすでに判例があって法的解釈上この場合も”公衆”とするのが妥当なようです。
 そして後者については、音楽教室側の見解ですが、楽器の演奏を教えるのが目的であって直接聞かせるのが目的ではない、と主張しているようです。想いはどうであれ、先に述べたように外形的にはこの主張は認められないのではないでしょうか。

 音楽教室側は他にも、運営目的はあくまで教育目的であるという主張もしてるようです。
 これは教育目的の場合には著作物を利用可能という規定があるからです。次の著作権法第三十五条を見てください。

 教育機関における授業の過程において著作物を使用する場合の例外について規定されています。音楽教室側は、行っていることは”教育目的”であると主張しています。一方、著作権料徴収側は”学校法人であれば教育機関であると認める”との立場を取っているようです。要するに、今回は学校法人ではなく教育機関ではないから徴収に応じるべきということです。

 ちなみに柱書は著作物の”複製”について言っていますので、今回の事件に関係のある上演、演奏は第2項の方です。”著作権法第三十八条第一項の規定により”となっていますのでそちらも見ておきたいと思います。

 営利を目的としない場合については上演や演奏できるという規定です。私的利用などはこれに当たります。

 第三十八条に戻りますが、そうすると第三十八条の上演や演奏は”営利を目的としない”ときに限定されます。とすると音楽教室は営利企業ですので、やはりこの規定の適用はありません。もっとも、もう少し読んでみると分かるのですが、第三十八条第2項は非営利の場合には公衆送信権も例外であることを言っているに過ぎません。教室内での演奏が許されないならば遠隔地への動画送信ももちろん禁止です。

 ちなみに、今まで出てきた権利、つまり上演権、演奏権、公衆送信権はそれぞれ個別の権利として解釈されます。一つの著作物に一つの著作権が発生するのではなく複数の権利が個別に発生することに注意が必要です。

 著作権法第一条の目的は「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」と明確に掲げられています。
 今回の論争は実は「文化の発展」にとって正道なのはどちらなのかを争っているのです。著作権者を守るべきか、それとも自由な利用を促進すべきかのせめぎ合いなのです。

 文化の発展にとって、貴方はどちらがより有益な判断だと思われるのでしょうか。

音楽教室から著作権料 JASRAC理事長、批判に答える:日本経済新聞
著作権料の徴収、反対の「守る会」 ヤマハ音楽教室など:日本経済新聞

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  1. chisou より:

     本日の日経で、音楽教室側のインタビューが掲載されていましたので簡単にご紹介します。

     音楽教室側の主張は大きくは2点です。
     (1)22条の「聞かせることを目的として」とは鑑賞や楽しむためであり練習とは異なる
     (2)すべての教育目的の演奏は結果的に38条の非営利に当たらないと解釈される恐れ
     結果、大衆は著作権料を嫌うばかりに著作物の使用は限定的となり、最終的に著作者の収入は減り、ひいては楽曲が限られて音楽文化の幹を細めてしまう。

     心情としては音楽教室側の主張に従いところですが、法文上は著作権料徴収側の言う通りでしょう。音楽教室側はこれを”法の拡大解釈”と表しています。
     著作権料徴収側も、一部の著作者の要請と法の保証にもとづく主張でしょうが、内心は国民感情に近いのではないでしょうか。

     著作権法の目的を「文化の発展」としたばかりに意見が分かれる結果となりました。素直に「著作者の保護」としていれば疑義は生じなかったかも知れません。

    ヤマハなど音楽教室、JASRACに反論「法を拡大解釈」:日本経済新聞

  2. […] っているので対抗措置としては妥当な行為です。ただ、最近著作権料請求の騒動があった(「著作権侵害」)ためにこのように取り上げられているだけで法的に不当な点は何もありません。 […]

  3. […]  以前、音楽教室での楽曲の演奏問題を取り上げたことがあります。(「著作権侵害」)  音楽教室側は訴訟も辞さない構えでしたが、いよいよ提訴する方向で動き出したようです。7月と […]

  4. […]  音楽教室側の主張は以前考察したように(「著作権侵害」、「著作権侵害(その2)」)、法的には不利なように思えます。一律2.5%を徴収するというのは無視できない額だと思いますが […]

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