マストドン(Mastodon)と呼ばれる新興SNSが注目を浴びているようです。ちょっと調べてみるとTwitter®のようなSNSのようです。
「トゥート」(発言)の見せ方として「ローカルライムライン」と「連合ライムライン」という二つが用意されています。前者は従来のSNSと同じような見え方なのでしょうが、後者は”垣根”があります。ときに、この”垣根”は国や街の境と同様の意味を持ちます。
何が新しいのかと言えば「連合ライムライン」という考え方の根本が関係しています。
従来からSNSは大手がサーバを提供し一括管理がされてきました。古い方には馴染みのあるBBS(Bulletin Board System:電子掲示板)と同じ構成の仕方です。”垣根”を設けようとすればグループ登録するなどの工夫が必要です。
今回の新興SNSでは、SNSを運営するサーバ自体が個別に立ち上げられます。分散していると言えばそうなりますが、それぞれのサーバは各管理者のポリシーによって運営されるようになっていて、そこには”壁”が敷かれています。それぞれのサーバのインタフェースが統一されているという意味ではBBSに対して、あたかもメールサーバのような構成となります。
記事ではこれを「インターネットの自由」と言っています。
確かにSNSが巨大化するに連れて、ポリシー設定の不備による情報漏えいであるとか、国を含む体制かの干渉を受けるとか、その社会的な影響度の大きさから問題視され始めていました。リア充の顕示欲を満たすためとはいえ、その副作用が大きいことを皆が認識し始めています。
「インターネットの自由」とは自由に振舞えるというだけでなく、自身の情報は自身でコントロールできることが重要です。そういった意味では全体としてSNSでありながら自身が運営するサイト、換言すると”街”は適切に守りたいという要請は至極自然な発想です。
さらに、このSNSはフリーソフトとして配布されていることが最も重要です。つまりそれこそが他者の干渉を受けないことになるからです。もしもこれが大手SNSサイトが配布したソフトウェアで、このソフトを使って何かサイトを立ち上げるには登録が必要だとか、何らかの理由で他のサイトとの連携をはく奪されるような仕組みが組み込まれていたら、それはすでに”自由”ではありません。
この記事を取り上げたのは、実は次の記載が重要だったからです。
ストールマン氏はGNU GPL(General Public License)の中心人物だからです。氏は非営利団体のFSF(Free Software Foundation)を設立しGPLのライセンスポリシーを書き上げました。良くも悪くも世界中の多くのOSS(Open source software)がGPLのライセンスポリシーを採用しています。
たとえ電子的な手段で書き上げられたソフトウェアであっても著作権の対象であることはご承知の通りです。これを”公開”するにあたり著作権を放棄するなど無条件で公開する場合もあるでしょう。そもそも苦労して書き上げたソフトウェアを公開するのは、個人のプログラマーにとって”崇高”な目的があってのことです。それは顕示欲もあるかも知れませんがソフトウェアの発展に寄与するという目的です。
しかしながら多くの企業が自己が製造する製品のコストを下げるためだけに、この崇高な目的の成果のただ乗りが散見されるようになりました。このような企業はソフトウェアの発展には寄与することなく、ひたすらに自己の利益を追求するだけのようにプログラマー達には見えました。
結果、著作権を放棄することなく一定の条件に従うならば成果物であるソフトウェアの利用を許すことを選択しました。これを著作権(copyright)をもじってコピーレフト(copyleft)と呼ぶことにしました。
もちろん使用権に何らかの停止条件、解除条件を掲げているライセンスポリシーはたくさんありますが、コピーレフトに改変ソフトの公開を要求しているのは、前述のFSFが提唱したGPLだけです。
インターネットの自由とは、個々人にとってはあらゆる制約からの開放を指しますが、企業にとっては足かせ以外の何物でもありません。だからこそ、自社の製品に安易にOSSを採用するのは危険でもあるのです。