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実験基準

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 新技術が世の中で広まるためには技術革新の他にも障害となる重大な事柄があります。それは以前にも取り上げた法規制の問題です。(「レギュラトリー・サンドボックス」)

 法律は侵すべからざる規範ですので、その規制にかかる商売をすることはできません。

 しかしながら、法律が社会の規範であるならば、その社会が絶えず変容することを考えると規範としてズレてくることもあります。今回引用する記事はそういった事例の最たるものではないかと思います。
 それは”自動運転車”の公道走行についてです。

 ある技術革新を実用化するために現行法の規制を受ける場合、その規制を回避するには大きく二つの手段があるかと思います。以前の投稿で言及した手段は法律の一部例外を設けること、つまり”特区”を設けることでした。もう一つは従来の法律の法改正・ルール改正をすることです。今回は後者の視点です。

 ”車両”が公道を使って実証実験をするには道路使用許可を取得しなければなりません。省庁でいえば警察庁の管轄でしょうか。これは公道を利用する他者の安全を確保するためにも最低限の守るべき基準となります。
 では今までにない”車両”の場合にはどのように安全の基準を設ければよいのでしょうか。しかも”人が直接ハンドルを握らない”車両であればなおさらです。同法のように「安全」を目的とした規制の場合、何をもって十分安全と判断するのかが大きな問題です。

 この度、警察庁は無人公道運転についての実証実験基準を公表しました。最も完成度が高いと考えられる米国の大手IT企業の試験走行車も事故を起こすぐらいですから、何をもって十分と判断するのかが興味のあるところです。
(以下、ハイライト部分は記事より抜粋しました)

 実証実験ですから、よほど問題のあるルートでない限りは許可されるべきです。

 ”無人運転”ですから、それだけ見ても法改正は必要でしょう。

これだけ見ると通常の市販自動車とそれほど変わりの無い内容のようにも見えます。

 データ採取が目的ですのでこれも通常は行われる内容かと思います。

 無人ゆえの対応と言えます。

 サイバーテロへの備え、暴走時の緊急対策について説明を求めるという趣旨のようです。今までの車両と異なる技術部分になるでしょうか。
 警察庁という仕事柄、自動運転車関連の技術内容を審査基準とすることはしておらず、あくまで安全であることを聞き取り確認することが趣旨のようです。

 最先端の技術だからこそ何が起こるか分からない。警察としては従来通りの安全基準を維持するためには万全を期す覚悟で臨むとのこと。

 開発の深度も規格も定まっていない今の段階では、役所としては苦渋の決断だったことでしょう。一方で実証実験をしようとするメーカーにとっては大変な負担になることは間違いありません。

 しかしながらこれだけやっても、それでも不安が払しょくされた感はまだまだ薄いのではないでしょうか。避けては通れない”道”ですから、ケースバイケースで規制の緩和も必要です。
 文字通り「やってみなければわからない〇〇実験で」の精神で。

無人公道運転、慎重に発進 警察庁が実験基準:日本経済新聞

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