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輸入品差し止め

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 知的財産権の活用が活発になってきている兆しなのでしょうか。財務省が発表した知的財産権侵害にかかる輸入品の差し止め件数の記事が出ていました。

 この発表によると、知的財産権による輸入差し止め件数は11%増加したとのことです。11%というのは1割の増加、これが特徴として捉えられるのか分かりませんが、日常的に輸入品が入ってくる昨今では増加してしかるべきではあるはずです。

 面白いのは工業所有権三法(実用新案権は特許権に算入か?)で見たときの内訳です。

  1. 商標権:57.2%
  2. 意匠権:27.9%
  3. 特許権: 7.7%

 商標が約6割を占めているのは分かります。輸入品に商標が付されていることが分かればすぐさま権利侵害と認定されます。比較的認定し易いことと、国内業務に対する影響が大きいということもあるでしょう。
 ちなみに、知的財産権では「輸入」する行為は実施にあたります。

 次が意匠で、最後が特許だそうです。

 権利侵害といえば特許が”花形”のはずなのですが、迅速さが求められる輸入阻止に対して侵害認定が難しいうえに判定までの時間が掛かる傾向にあります。そういう意味では使いにくい側面はあると思います。

 面白いのは二番手の意匠です。商標の次に多いというのは意外だと思ったのですが、どうやらここに来て18倍にも膨らんだからのようです。

 一方、差し止められた輸入品が中国からの輸入品でほぼ占められているということは、中国からの輸入量が増加していることもあるのでしょう。しかしながらもう一つの事実も見逃せません。
 それは中国製品の品質の向上です。

 今までは中国製といえば安いが壊れやすい、品質が低いと思われていましたが、昨今は侮れないほどに優秀な製品が多く見受けられます。これを野放しにすると国内の業績に大きな影響が出てくるという危機感であり、品質的に対等な製品になってきたという認識の裏返しなのです。

 他方、意匠による輸入差し止めも増えているという事実があります。少なくとも日本で意匠権はマイナーな権利で、あまり活用されていませんでした。それがここで急増しているのはやはり中国の影響が強いと思われます。

 とうの中国はどうかというと、意匠権の活用度合はずば抜けて高いのです。それは技術の保護というよりは模倣品被害への対策としての重要性が認知されているからです。(中国での意匠の使われ方は、むしろ異常ですが)

 このような権利による運用の違いを見ると、実は意匠権はこれからの時代、使える権利であることを感じさせます。

 理由の一つには、権利の主体がデザインであり物品は客体であるということです。意匠法では、意匠は物品の形状であるとしています。実は物の”形状”というのは技術力が化体したものなので、確かな技術力に裏打ちされた結果としての意匠は結局は技術保護を意味します。この点で同質な技術を保護主体とする特許と異なるのは、権利行使の際に技術的な侵害立証をする必要がないということです。これは輸入阻止に対する大きな優位性になるはずです。
 また、最近の工業製品はモジュール化が進んで、比較的容易に同一水準の製品を製造することが可能になってきました。最後に効いてくるのは、やはり形状、デザイン性なのです。これを保護するのが意匠権ということになれば、活用が増えるのは理解できます。

 もう一つは、形状がコーポレート・アイデンティティ(CI)として見直されてきていることです。最近の言葉でいえば「ブランディング」です。
 「ブランディング」といえば今までは商標の役目が大きかったはずです。つまり企業名による指名買いや、製品名にもとづく品質保証のような感覚です。それが今では特徴的な、あるいは使いやすい形状の製品が一定のアイデンティティを得るようになってきました。折に触れ話題になるのですが、マツダ車のラインナップやiPhoneの歴代の製品が好例とされています。

 模倣品の輸入にあえて他人の商標を記載せずに税関を通過させたり、デザイン性に影響する、目立ちすぎる、あるいは消費者に嫌味と感じられるという理由から商標を製品の前面に付記出来ない事例も増えてきました。こういった場合に、意匠による事業保護というのは思いのほか力強い味方になってくれるはずです。

 費用の面でも特許よりも権利化し易く、あらゆる場面で使いやすい意匠という権利を、今一度検討されてみてはいかがでしょうか。

知財侵害輸入品、差し止め11%増 上期:日本経済新聞

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