掲題の件、仮想通貨であるとか銀行であるとかの分野に絡めて紹介されていたために、金融関連の技術なのかと思っていました。
実際は複数のサーバで構成されるシステム上にセキュアに台帳システムを構築するための技術であるとのことです。中央にマスタのサーバを置かずに複数のサーバからなる台帳システムを構築することができるのが特徴だそうです。
台帳の更新はシステムを構成する複数のサーバ同士による”合意形成”を基本とし、書き込まれる取引情報もサーバ同士共有されます。もしもどこかのサーバ上で台帳の改ざんを試みても他のサーバとの”合意形成”が成されないために、分散して管理されている台帳に反映されてしまうようなことはありません。さらに、台帳が分散管理されているということはアベイラビリティ(稼働率)が低いサーバが含まれていても全体の稼働率に影響しません。
複数サーバによる分散管理システムの多くは、1台の物理的にもセキュアに管理された集中サーバがあって、実質、台帳はこの集中サーバの管理下に置かれます。銀行オンラインシステムや与信システムはこういった形態だと思われます。セキュアな情報管理が必要なシステムの構築には、分散管理させた場合に想定されるリスクが高いと考えられているからです。
一方で集中サーバが停止すればすべてのサービスが停止します。銀行の合併やオンラインシステムのバージョンアップなどがあると、ATMが数日間に渡って停止するのはこのためです。
ブロックチェーンの技術は仮想通貨であるビットコインで最初に利用されました。以前、換金停止騒ぎで話題になりました。
集中サーバが存在しないシステムということは言い換えると支配的な権限を持った管理者がいないということでもあります。実質管理者が存在しない金融システムが全世界で何年間も堅牢性を保ったまま運用され続けていることが、セキュア性の高さを証明しています。
VPN(Virtual Private Network)のように機器間のPeer to Peer通信をセキュアにしようとする仕組みは広く使われていますが、セキュア通信技術があることを前提として、特定の目的を遂行するシステムを全体としてセキュアに管理するこういった仕組みは有益な発明になるはずです。
ただ、仕組みを知られないことによって堅牢性が確保されるような技術であれば、出願明細書が公開されてしまう特許出願はしないという選択肢もあります。この選択肢は出願人がこの製品を販売する側の立場であることが前提です。
加えて、こういった製品が他社製品であった場合侵害検証が困難なことが多く、将来的に権利行使が難しいことを理由に無駄な出願をしないという判断があっても良いとは思います。
安全な金融取引が絶対的に求められる市中銀行などの金融機関が、このビットコインの運用実績を評価して業務に活用しようとしています。もしもブロックチェーンが複数の銀行間で稼働させることができれば管理者を設けることなくセキュアな運用が可能になります。大手システムインテグレータもサポートを始めています。
管理コストの大幅な削減だけでなく、ブロックチェーンによりセキュアが保証されるのであれば台帳更新のために必要なタイムラグも飛躍的に短縮することが可能になると期待されています。
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