大企業同士の特許提供プログラム締結の話が報道されました。自動運転分野における世界を巻き込んだ異業種間の共同開発の話しです。
ライセンス契約をしたこの大手IT企業は、以前の投稿(「パテントトロール」)でも取り上げたように、パテントトロールから顧客を守るために保有権利を自由に使えるようにする方針を打ち出した企業です。
今では誰でも知っている大きな企業ですが、PCのソフトウェアが本業でしたので特許件数はそれほど多くはありませんした。そこから急速に件数を伸ばして、今では有数の権利保有会社になっています。市場シェアも高く研究開発費もかけていることもあって有力な権利を保有するに至っています。
要するに保有権利を基礎としたパテントプールのような活用戦略を採っています。(「知財管理会社」)
自動運転分野は自動車の技術とAIやICTの技術という高度な知見が必要です。それぞれが思想を異にする技術分野であるため、実際には一つの企業で製品化レベルの技術を開発するのは極めて困難です。したがってそれぞれの技術を得意とする異業種の企業が協力し合って初めて実現する社会インフラなのです。
異業種であるが故の課題も多くあります。まずは企業文化の違いに始まり、そのような状況下でさらに知的財産という目に見えない財産の取り扱いも必要になります。(「共同開発と知的財産」)
特許は技術的思想の創作ですから、自動車会社が自動運転の知見を得るにはうってつけの素材です。ライセンス契約対象の権利の中に使いたい技術思想が見つかれば、明細書という完成された技術資料があるためすぐに適用を試みることが可能です。
技術者同士が情報を交換しながら同時進行で開発を進めるという直接的な手段以外にも、特許ライセンス契約という形でも新規事業実現のために協力関係を築くことができるのです。