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裁判地

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 契約書をよく見ると最後の方の条文に管轄条項というものがあります。
 契約について紛争が生じ、話し合いで解決しなかった場合には訴訟に発展します。不幸にして訴訟となったとき、いずれの裁判所に訴訟を提起することができるのかをあらかじめ合意しておきます。要するに”裁判地”をどこにするか、という条項です。

 契約の段階では訴訟になることなど考えもしないでしょうから、裁判地などという配慮はそれほど重要視しないかも知れません。東京近郊の事業であれば東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることが多いと思いますが、契約の相手方が外国企業であった場合にはそうならないこともあります。
 裁判が始まると弁護士費用や、関係者の旅費といった経費が掛かります。それも安い費用ではないため、裁判地というのは金銭面からも気にしなければなりません。

 しかしながら訴訟大国アメリカではこの”裁判地”というのが最も大きな意味を持ちます。

 米国の裁判制度は陪審制度が採用されています。これは一般の裁判員が判決に関与する制度と言えますが、たぶんに心情的なバイアスが掛かる制度でもあります。

 記事の事例では原告がデラウェア州連邦地裁に提訴していたものを被告の本社のあるインディアナ州の連邦地裁へ移送を認めました。
 裁判地は双方の事業基盤のある地か、提訴にかかる犯行が行われた地の裁判所で争われます。特許権侵害の場合は対象特許が使用された製品が販売された地という解釈から、往々にして全米のどこの州でも提訴ができます。記事中の言葉を借りれば「居住」ということになります。
 そういった状況の中、当事者の申し出により裁判地を変えることができます。これを移送すると言います。

 米国の裁判は陪審員により行われると前述しました。実は裁判地により判決がかなり異なるという事実があるのです。記事中にも登場する「テキサス州東部地区」は原告が勝訴する確率が高い裁判地として有名で、原告はこぞってそこで裁判をしようとします。正直なところ、この地で行われる特許訴訟が4割をも占めているとは今更ながら驚きです。
 裁判を有利に進めることで和解金をせしめようとするパテントトロール(「パテントトロール」)にとっては願ってもない状況が出来上がっています。

 その状況が変わりつつあるというのがこの記事なのです。

 米国は日本と違い判例法の国ですので、一度下された判断は以降の裁判も拘束します。
 このことは今まで米国で商売する日本企業が、特許侵害訴訟で一方的に攻められていた悪夢への光明となるかも知れないということです。

 裁判は金になります。”裁判地”の住人はそうして裁判を誘致し、地元に落ちる裁判費用で生計を立てるという構図が出来上がっているのです。日本の感覚でいうといささか信じがたい世界です。
 訴訟ビジネスは裁判の当事者のみならず、住人にとっても文字通りビジネスなのです。

特許訴訟の裁判地 制限:日本経済新聞

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