JAXA(宇宙航空研究開発機構)が行った軌道投入用小型ロケットの打ち上げが残念ながら失敗に終わったようです。私もそうですが、関係者の皆様には残念な知らせとなってしまいました。
今回のプロジェクトでは小型衛星の効率的な打ち上げと、それによる商業的な目的のために計画されました。ある意味画期的な試みであり、多分に試験的な要素が多いと聞いています。電子機器の進歩による、宇宙開発は国家プロジェクトとして行われるだけでなく一般にも手が届くようになったといわれます。これからは企業等々も様々な目的で人工衛星を打ち上げて新しいビジネスを始めるようになると考えます。この打ち上げプロジェクトが日本としてのその第一歩となるわけです。
今回の試みの中で特筆すべきは、打ち上げ先進国に対しコスト面で大きくアドバンテージを得ようとするものでした。
宇宙開発は姿勢制御などの高度なノウハウも必要ではありますが、打ち上げという過酷な環境でも故障や誤作動を起こさない信頼性の高い部品に支えられています。一度エンジンに点火してしまったあとは故障したからと言って修理をすることもできません。
通常の場合、高価な宇宙開発用に製造された電子部品を用います。そうすることで故障のリスクを低減させるようにしてきました。信頼性をコストでカバーするわけですから、ロケットや人工衛星の製造コストはおのずと高額になります。したがって宇宙開発は巨額の費用がかかります。また、信頼性が最も重視されることから実績のない新開発の電子部品は使用されることはありません。すると勢い何世代も前の処理能力の低い部品を使わざるを得ません。ロケットでの打ち上げのようなペイロードが厳しく制限される状況においては物理面でもコスト面でも不利です。
そこで今回は民生品の電子部品を使って1/10程度までコストを抑えていると聞きました。もちろんロケットのサイズが小さいということもありますが、搭載する電子機器にかかるコストも大きく貢献しているはずです。安価に打ち上げられるのであれば需要も増え、国際競争にも勝てるという方程式があります。
スマートフォン全盛の今、小型機器用の電子部品は小型化、高性能化という目覚ましい進化を遂げています。今回の失敗の原因はまだ分析途上のようですが、テレメータの受信ができなくなっただけでロケット自体は最後まで正常だったという観測もあります。民生品を当てたことによる不具合という結果になってしまうならば、宇宙開発はまた高コスト体質に逆戻りとなりかねません。
いずれとしても将来の宇宙開発のための画期的な試みですので、今回の結果だけに必要以上に過敏にならない方が良いと思います。
[…] ことは記憶に新しいところです。(「宇宙開発と民生品」) […]