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その成果は誰のもの?

投稿日:2017年2月22日 更新日:

 発明は技術的思想の創作とされていますから自然人たる人間が発明します。ですから法人たる会社は発明をすることはありませんし、雇用主も別人ですから発明者ではありません。その発明の発明者は、その発明を成した人であるべきです。

 少しばかり前になりますが、青色LED(発光ダイオード)の発明者に相当の対価が支払われていないのではないかとして訴訟があったかと思います。この論争は特許法第三十五条(職務発明)という条文をめぐって行われました。

 特許法の同条は昨年改正が行われていますので当時の条文ではありませんが以下に掲載します。

 長い条文ですので一部のみ抜粋しました。

 結論から言うと、就業規程などに従業員の特許を受ける権利を譲渡することを定めていれば、最初から会社に帰属するのです。
 上述のように定めていなかった場合であっても、それが特許となったときには会社は発明を実施できるのです。

 しかしそれでは発明者にとってあまりにも不利ということで、いくつかの条件が定められています。

 就業規程などで特許を受ける権利を譲渡させるときには「相当の利益」を従業員に与える必要があります。また、従業員の発明であればなんでもかんでも会社が使えるとなるとそれもおかしなことなので、「職務発明」に限るとしています。
 「職務発明」とは雇用先の会社の命令で行った業務の成果の過程で生まれた発明です。要するに上司の命令で行った研究開発はすべて「職務発明」です。会社で行ったそれ以外の発明は、たとえ従業員との間で契約があったとしても会社が召し上げることは禁止されています。これを「業務発明」といいます。普通は会社の上司の命令に従って仕事をしますので「業務発明」はなかなか無いはずですが。

 第4項の「相当の利益」は、改正前は「相当の対価」と記されていました。あくまで対価(金銭)で発明の価値を見積もる必要があり、相当の対価といったとき発明者と会社との間で隔たりが生じることが多かったのです。
 過去の発明者と会社の間の紛争は、この「相当の対価」について争われました。そんなこともあって改正後は文言も「相当の利益」と改め、第5項~7項を追加してその扱いをある程度明文化しました。

 ただ、”特許を受ける権利”というのはまさに受ける権利のみであり特許庁へ出願さえされていない状態です。特許になるかどうかも分からないその段階で対価を定めるのは難しいのです。さらに特許になった後でも、その権利を使って会社が成果を上げた場合にも”対価”として支払っています。このときの成果に関しても発明者および会社のどちらがより貢献(改正後の第7項)したか一筋縄に決定できるものではありません。

 他にも、改正前は従業員が成した発明の”特許を受ける権利”は就業規程などに定めてもあくまで従業員側にあって、”譲渡”という意思表示が必要でした。これも紛争の一因となっていたため、改正後は第3項で「発生した時から使用者等に帰属する」としました。これには技術者や研究者からかなりの反発があったのは事実です。

 とにかく”特許発明”は個人で保有していても実施することは難しく、権利行使も厳しい側面があります。発明を権利化するには時間と大変なコストが掛かりますので、費用をねん出した企業が営業活動とともに使うのが本来の形であろうと思います。
 資本主義経済にあってはそういった考え方が主流ですので、発明自体は取得に貢献した企業に帰属させ利益を上げてもらい、発明者は会社から「相当の利益」に沿うインセンティブを得るという形が一番良いのではないかと思います。

職務発明 業務で発明した技術・製品:日本経済新聞
職務発明に報奨手厚く 国際競争へ人材確保:日本経済新聞

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