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CAI

投稿日:2017年2月23日 更新日:

 Webの記事を見ていて馴染みのないワードを目にしました。「エドテック」というワードです。
 どうやら「エドテック」は教育(Education)と技術(Technology)を組み合わせた造語だというのがわかりました。以前ご紹介した「フィンテック」(FinTech)も金融(Finance)と技術(Technology)の組み合わせと思われますので、同じような成り立ちなのでしょう。

 「エドテック」は意味合いから察すると、以前からあるCAI(Computer-Aided Instruction)、つまりコンピュータ支援教育に近いものだと分かりました。
 CAIはコンピュータを用いた教育という広い概念を包含しますが、今回はネットワーク越しにシステムが構築されていることを意識しているようで、現代の形態でこれに近いと思われるのは”イーラーニング”(e-learning)でしょうか。

 学校などで教師が生徒に対し直接授業する形式に対し、たとえば一人一台のパソコンやタブレットを持ち、そこに生徒各人の学力や進捗に応じて映し出される解説や資料を学習していきます。一つの教室に集った生徒全員の理解を前提とせず、各人のペースで学習できるというのがe-learningのミソだと思います。
 また、解説や資料はあらかじめ保存されている動画や写真あるいは学習プログラムをネットワークを通じて各人のパソコンやタブレットに送ります。送るタイミングは個々の生徒の進捗に合わせて行えますので、教師は一人しかいませんが実質的に複数の教師がついているようなものです。
 生徒側からすると自身の学力レベル、理解度に応じて学習ができますし、ネットワークを介することで学校まで登校する必要もなくなるかもしれません。教師の側もカリキュラムをクラス全体で進めなければならないという負担が減りますし、さらに学習時に教師がついている必要もないとなれば更なる省力化も可能です。

 結果、学習効率が上がるとともに教育者の負担も減るというビジョンを描いています。

 CAIという試みはそれなりに以前からありました。ネットの発展と教師不足を反映して再び注目されているということかと思います。
 しかしながら、いまでも教室で教師と生徒が対面で教えているように、決定打となるCAIはまだ考案されていないと考えます。現代では端末とサーバは比較的容易にそろえることができますので、教育科目に応じたコンテンツさえ用意すれば構築自体はさほど難しくありません。ですが対面での教育とCAIではまだまだ代替できない何かがあるのです。

 もちろん一部ではCAIが商業化されています。ですがそれは教科や目的といった特定の場合に限られ、義務教育も含めた教育全般には対応できていません。全部を変えるのはたぶん無理なのでしょう。

 実現できていない理由は、おそらくは「モチベーション」と「フレキシビリティ」にあります。前者は生徒に飽きさせることなく学習意欲を維持することが難しく、後者は柔軟性が欠如していて生徒別の配慮(思いやり)が不十分だからです。毎朝教室に集い(意識の切替)、先生が一人ひとりに声をかけてくれる(安心感、信頼感)という行為が必要で、コンピュータ越しにはそれが無いので長続きしないし効果が上がらないのです。現時点では教材(教育用コンテンツ)の学習内容の出来不出来ではないと思います。

 言い換えると、足りていないのは技術や知識ではなく、生徒や社会がCAIに対して抱く信頼度の低さが原因なのではないでしょうか。コンテンツにゲーム性を持たせれば生徒は”面白い”と思ってモチベーションは上がるかも知れませんが、それではゲームソフトと変わりはなく社会的な信頼にはつながりません。
 また、社会的な信頼を高めるために生徒への目配りを充実させようとして教師を増やさなければならないとなれば、それはそれで本末転倒です。

 いろいろと憶測ばかり並べましたが、CAIにかかるアイデア発掘をする際の一助となれば幸いです。

 結局は、産業界が開発を競っているAI技術がカギを握っているような気がします。どうフォローするべきかをオーダーメードで考える自立したAI、モチベーションを維持させる教師の役を代替してくれる存在が必要なのでしょう。

エドテックとは:日本経済新聞
教育充実 ITが担う 講義配信などの「エドテック」:日本経済新聞
小3全員にタブレット:日本経済新聞

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  1. […]  「エドテック」ともいわれるCAIの話は以前掲載しました。(「CAI」)  公立小学校でも現実に添付の記事のようなことが行われています。このときはタブレットに書籍関連業者が開発し […]

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