これもモバイル決済(「モバイル決済」)の態様のうちの一つになるのだと思いますが、フィンテック(FinTech)を活用した好例だと考えます。
タクシーに乗降する際、「釣りは取っといて」と言うのは昔から粋なことと思う人は多いのでは?
このアプリは交通系電子マネー決済の際そういった100円未満の釣銭を投資に回すというアイデアをアプリにしたものだそうです。昨年12月にニュースリリースされていたようなのでご存知の方もいらっしゃると思います。
発想自体は、現実社会で行われていた人と人とのやり取りです。
そして電子マネー決済や投資信託会社との接続は業務上強固にセキュリティが掛けられていて、いわば不可侵の領域でした。それをつなげてしまうサービスを提供できるのはフィンテックによるAPIの開放があってのことだと思います。
ちなみにAPIは金融機関などがオープンで提供するものなので、我々は発明を考える上ではあり物としてただ使えば良いということになります。(「オープンAPI」)
電子マネー、投信のどちらの運営会社もセキュアにインタフェースを開放できること、それをアイデアでつなぐ事業者があって初めて新たな事業形態が生まれるわけです。
事業としてはかなり流行りそうな予感のするこのサービスですが、発明として権利化及び抑止力を持った権利とするには工夫が必要そうです。
まずこういった今までにないサービスが実現できた背景は何か、またはいままで実現できていなかった理由はあるのかに着目します。
すでに人間社会において行われていたこと(たとえば商習慣)に関しては、審査の際すでに発想自体はあった(つまり周知、新規性なし)といわれる可能性があるからです。そこには新たな技術的思想が存在しないという解釈です。
出来上がったシステムがどんなに利益をもたらすものか、どんなに効果があるものであるかを再三説明したところで、特許査定を勝ち取ることはできないでしょう。
既に一般的に行われている手続きであったとしても、諸般の事情によりそれをシステム化するのが非常に難しい事案というのはあります。今回のフィンテックアプリもそういった類のシステムだと思います。
その場合、なんで実現することが難しかったかを問うのです。できなかったことが実現できたのだから、必ず何かしらの
そこに発明があるのです。そしてその発明がそのシステム化のためには必須の避けては通れない
したがって、それを明細書の特許請求の範囲のコアとして出願します。首尾よくボトルネックを権利化できたとしたら、他に抜け道はありませんのでそのシステムは誰も実施できないでしょう。
そうして取得した特許発明は、最初に考えていたシステムのイメージとは似ても似つかないものになるかも知れません。ですがそれでも全く問題ないのです。発明したシステムの実施に対して、効果的に実施の独占と他者実施の差し止めができるからです。
実はまだ考えることがあります。
もしかしたらそのボトルネックのアイデアは別の分野では当たり前に行われていたかもしれません。そうならば発明容易(つまり進歩性なし)で不特許理由になってしまうかもしれません。
このようなときは、ボトルネックのアイデアは
発明には新規性が必要なことは確かですが、進歩性にはある程度幅があって、どんな些細な工夫であっても創作の程度が高いことを認めてもらえる可能性は高いのです。
フィンテックの向かう先は社会的にも大きな影響がある将来性のある思想ではあるものの、システムにかかる知的財産の権利化を考えると、一昔前のビジネスモデル特許よろしく難しい面があります。
[…] つい最近にも交通系電子マネーと投資機関をつなげるアプリの話を取り上げました。フィンテックについてはそれ以前にも何度か触れたことがあります。ご参考まで以下に列記しておきます。 「フィンテックアプリ」 「ブロックチェーン」 「ICTで競争力?」 「モバイル決済」 「収益性向上のためにフィンテック」 […]
[…] てます。 コインランドリーの発明でなくても、要はそこが新規事業のアイデアを有効ならしめるために必要なボトルネックになっていれば良いのです。(「フィンテックアプリ」も参照) […]