ここでいう「技術流出」とは、以前の投稿(「アイデアの権利化と秘匿化」)における発明の「秘匿化」に失敗したこととは少し違います。
今回の話題は対国内ではなく諸外国への技術流出です。
先進国の多くは自国の優れた技術の国外への流出防止や、武器拡散を食い止める等の理由から輸出物の規制を行っています。一般的には輸出規制(STC:Strategic Trade Controls)と呼ばれます。
輸出する物品は細分類されており、輸出に問題ないとされるものから経済産業大臣への届け出が必要なものまでさまざまです。輸出する国についてもランク分けされており、テロ支援国家とされている国への輸出は非常にシビアです。軍事転用が可能とされる技術は厳格な管理がされます。行政への届け出を怠るなど、もしもこれに反することを行えば国際的にも大問題となります。
一昔前、NC工作機械を輸出して問題となったココム違反(結果的に潜水艦のスクリュー音を低減させる可能性が指摘されています)などが有名ですが、実のところ違反行為は結構あるようです。現在は民生品であっても軍事転用可能な技術を含んでいる可能性が高いため、判断が非常に難しい分野だと思います。
輸出規制の実施にあたりもう一つ米国再輸出規制(EAR:Export Administration Regulations)というものもあります。これは名前の通り米国の輸出管理ですが、米国原産の技術や物品を日本から諸外国に輸出(原産が米国なので日本からは再輸出にあたる)しようとする場合にも適用されるとされています。もともと日本法でもないうえ条約などでもないのでわが国として義務はないものですが、違反すれば米国およびその他関係諸国との取引が出来なくなる場合もありえます。そうなれば経済活動自体が立ち行かなくなってしまうことでしょう。
ここまでは技術や製品の輸出ですが、添付のリンクの記事では留学生、企業研修生、視察団といった外国在住の者への技術提供について書かれています。こういった海外在住者を呼ぶような場合にも慎重に対処しなければならないということです。説明のために手渡すパンフレットや技術資料だけでなく、その場でしゃべったことももちろん規制対象です。不安があればそういった資料は回収するか、肝心な部分は説明せずに済ますようにした方が無難です。
企業として何か新たなアクションを起こそうと思うと、これらに限らずじつに多くの規制やルールにぶつかります。しかも国際状況を勘案してか、毎年のように法改正や運用が変わりますので神経を使います。
余談になりますが、特許出願においても出願公開という制度があることから諸外国への技術流出の危険があります。現在ではインターネット経由で公開済みの明細書は見ることも出来ます。もしも国としてある技術を外国に公開するのは得策ではないと考えれば、出願公開を定めた特許法64条2項但し書きにもとづき明細書部分を公開しないという対処がされると思われます。
[…] 外国への情報流出にまつわる状況については以前にも投稿しました。(「情報流出」) 今回、外国への情報流出、特に軍事転用技術の漏えいに関して罰則が強化されるとのことです。 […]
[…] 明の発想方法の一例として投稿したことがあります。そこで製品開発の際には、その製品に利用する技術はあり物として考えましょうということを提案いたしました。(「発明の発想法」) […]