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共通化

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 大手自動車メーカーの記事です。自社で製造する自動車の部品の共通化を進めるという内容です。
 以前の投稿(「標準化」)で取り上げた記事でもこのメーカーの名前は出ていましたので、全メーカー、全部品ベンダーの標準化に先立っての施策と思われます。

 以前の記事は”標準化”でした。単位系や試験方法といった評価基準に対し、異なる企業の間でも同じ言葉で話せるようにすることを狙いとしています。
 一方、今回の記事の”共通化”は別の車種であっても部品を共用できるようにすることを狙います。この二つの言葉は意味合い的に異なります。

 部品レベルの共通化を突き詰めていくと組み合わせ型(モジュラー型)開発となっていきます。部品の種類を減らしていくことで原価の圧縮、部品在庫の圧縮が図られ、コストメリットが大きくなります。製造コスト削減を目的とした改革と言えます。
 日本の物づくりの原点であった擦り合わせ型(インテグラル型)開発で優位に立っていた日本企業は、低コストを売りにする外国企業に対し、果たして戦い抜くことができるのでしょうか。

 さて、企業間の競争はひとまず置いておくとして、産業的にみると共通化のメリットは計り知れません。少なくとも部品調達、在庫管理、製造ラインに至るまで簡素化が図れるはずです。その恩恵は直接的に製造原価削減効果として現れます。

 では、産業に利活用できることを要件としている知的財産権では、産業的に効果をもたらすこういった共通化にかかる技術的思想の権利化は可能なのでしょうか。

 特許などの知的財産権は今までにない発想(新規性)と今までにない効果(進歩性)が求められます。さらに自然法則にしたがったもので反復して実施が可能(産業利用可能)という要件もあります。
 これだけ見ると共通化のアイデアも十分権利化できるのではないかと思われるかも知れません。

 たとえば、ある製品Aの部品A’を製品Bの部品B’にも使えるように製品Bを設計変更するというアイデアがあったとします。部品A’と部品B’が共通で使えるようになったので効果はあるのですが、それ自体は設計的事項の変更に過ぎません。そうなるように単に製品Bを設計変更すればよいだけで、産業界全般に利用できるわけではありません。そのメーカー、その製品固有の課題であって、設計を変更するだけならば技術的思想としてはごく普通の考え方です。
 あるいは部品A’の部品ベンダーに製品Bでも共通に使えるように部品A’の設計変更を依頼するようなケースでも同様です。

 幸いにしてうまく権利化できたとしても、製品A、Bの間でしか成立しないメーカー固有の課題の解決策であるならば、その製品を製造しない他の企業にとっては何の影響もありません。

 では全く無意味なのかと言えば、そればかりでもありません。もしかしたら重要なヒントが隠れているかも知れません。

 思考ステップとして、

  • なぜ従来は部品A’、B’の二種類の部品を用いているのか
  • 二種類用意しなければならなかった理由は何か
  • 他のメーカーでも同じ状況(共通課題)なのか
  • 設計変更の内容は新規か

 を考えてみることです。
 言い換えるならばこれらの項目は、人的理由でもなく、産業利用可能で、新規性・進歩性があるのかを問うていることになります。

 部品自体の理由により共通化されていなかったのか、それともシステム的な理由で共通化されていなかったのか、理由はさまざまです。そのどこに問題があったのかによって発明のカテゴリも異なってきます。

 ここまで見てきてお分かりのように、共通化関連の知的財産権は「共通化」全体を包含するような大きなくくりの発明ということはなくて、特定部品限定の工夫であったり、既存の生産システムなどの工夫といったいわば”重箱の隅”特許になってきます。

 いずれとしても共通化にかかる知的財産権は応用範囲も狭く小粒な権利となってしまいがちなため、あえて権利化するかどうかは業界動向も踏まえて考えるべきかと思います。

ホンダ、部品共通化を拡大 20年めど:日本経済新聞

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