昨今の小学校ではパソコン学習室という専用部屋があって、中には十数台程度のデスクトップPCが備えてあります。
PCはディスプレイとセパレートのキーボード、そして共同のプリンタがあって、まるでパソコン教室のようです。この設備で何をしているのかまではよくわかっていませんが、ある日の授業ではカレンダーを印刷したのだそうです。
教育にICT(Information Communication Technology:情報通信技術)を活用したらどうか、という議論はかなり以前からあったように記憶しています。早期の英語教育の必要性と同様に情報リテラシの向上が国際的な学力維持に必要と判断しているようです。
「エドテック」ともいわれるCAIの話は以前掲載しました。(「CAI」)
公立小学校でも現実に添付の記事のようなことが行われています。このときはタブレットに書籍関連業者が開発した既存のソフトウェアを搭載して小学三年生の児童に配布したとのことです。この小学三年生というのが一つのキーワードです。
記事によると、大学と業者が共同で試行実験が行われ成果があったようです。自宅学習の時間が増えたり、学力テストの偏差値が上がるといった成果だそうです。いわば面白く学べるドリルのような使い方でしょうか。
小学生低学年の授業内容レベルで考えると、少しの予習復習がされれば学力はずいぶんと変わるような気がします。動機はどうであれ、子供にしてみれば面白いと思って結果的に”予習復習”をしているのだから、報告のような変化があって当然のような気もします。それでも成果といえば成果に違いありません。
これはICTによる効果があったといえるのでしょうか。いささか疑問です。
小学校の学習にパソコン学習室が導入されたのは上述したように、使いこなせるICTを実現するためだったと考えます。一方、学習効率向上のために配布されるタブレットは学習々慣の定着を狙ってのことなのでしょう。
施策としてなんとなくブレているような気がしてなりません。設備の導入によって利益の得られる業者としては両方の効果があるというのでしょうが、それぞれの目的により用意すべきコンテンツはかなり異なるはずです。
現代は一人ひとりが携帯ゲーム機を持ち、DTVのような家電でさえも電子化が進んでいます。子供にスマートフォンを一台与えておけばすぐに親よりも上手に使いこなすでしょう。情報リテラシの向上を想うなら、パソコン学習室なんて用意する必要は無いはずです。
それに指導する内容は普及しているGUIの使い方か、あるいは業務用ソフトで文章を入力・印刷することでしょう。偏った知識を植え付けかねず逆に誤解を生みそうな気がします。
他方、学習効率を向上させるためであれば、こちらについてはかなりのりしろがありそうな雰囲気です。ただ、今の時点で確からしい解法が見つかっていないために、投資話ばかりが先行して効果が怪しいという域を出られないのではないかと。
ICTを利用した学習に”のりしろ”があるといった理由は以下のような点です。
- 既成の学習ドリルのように定型の内容にとらわれず、学習内容を柔軟に調整できること
- 視覚を含む五感を動員することで学習効果を最大化させる可能性があること
- 進捗や成績の収集、管理が容易であること
- 協働学習の導入によって、個人別の学習ではない相乗効果が得られる可能性があること
教育にICTを活用しようと考えている方からすると至極当たり前の観点なんだろうと思いますが、どうしても”現在の教育体制の中の何か”をICTで代替するという思考から出られていないような気がします。
”学習指導要領があるから変えられない”ということもあるでしょう。教育という枠から飛び出して、もっと根本からコンテンツを考え直すくらいでなければ現状を打開できないのではないでしょうか。
教育分野は大きな市場でもあります。これを一気にICT化する発明ができたとすれば素晴らしいことだと常々思っています。
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