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スマートメーター

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 スマート〇〇というと、だいたいはネットワークに接続可能に構成されている〇〇という意味で使われます。スマート家電というと、ネットワーク接続可能な家庭電化製品ということです。

 この記事ではスマートメーターを取り上げています。メーターは家庭用の電力計、つまりネットワーク接続可能な家庭用電力計です。電気の消費量に応じてグルグルと円盤が回る速度が変わって、見ていても飽きないものでした。

 家庭用電力計は毎月検針員がやってきて数字を転記していきます。その数字をもとに電気代を請求するわけですが、今の電力量の測定には時間帯に応じて課金する単価を変えるような料金体系ができたり、電力自由化にともなってもっときめ細かく電力量を監視したいという要請が出てきました。とても検針員のスキルだけで乗り切れない事態になりつつあります。

 そこでIoTのコンセプトを電力計にも広げて、検針作業を自動化しようとする施策が決定されました。数年のうちには首都圏の電力計はスマートメーターに切り替わる予定です。

 電力計がネットワークに接続されると検針作業が減らせるばかりでなく、電力需要を細かく予測することができたり、逆に計画停電(輪番停電)が必要なときにも緻密な電力需要の調整をすることができる可能性があります。電力会社にとってはメリットが大きい施策です。

 実はもう一つ大きなイノベーションの素地が生まれます。
 電力計は電線からの引き込み線の末端に設置されていて、人が住んでいる地域であれば必ず存在しています。つまり人が居る地域津々浦々にAP(Access Point)を立てることができます。このAPを使用する機器がスマート家電であったりその他IoT機器だったりします。それによって一気にIoT化が進む可能性が高まります。

 一口にネットワークに接続すると言っても通信メディアはさまざまです。通信範囲という意味でも現時点で優位性が高いのは3Gといった携帯電話回線を使った無線通信でしょうか。他にも電源ラインに信号を流す電力線通信や、電信柱を伝って張り巡らされている電話線や光ファイバなどの物理回線を使ったものがあります。後者は設置後に移動させない機器には良いのですが、他方、移動する機器に対しては使えません。
 それに前者にしても無線回線はまだまだ細く、IoT機器の数が爆発的に増えてくれば既存のサービスとの競合や、やがて設備的にも限界が来ます。キャリアが安価な通信料を打ち出してはいますがIoT機器の数が膨大となれば、金額的にも無理が出てきます。

 スマートメーターではメッシュ(mesh)ネットワーク技術を採用し、他の機器を介して動的に通信経路を構築することで、一台一台の通信範囲が狭くてもそれを超えた遠距離通信を可能としています。それそれがP2Pで直接通信しますのでキャリアの介入も不要です。電力計がそこかしこにあればこそといったシステム構成です。

 記事では、スマートメーターをAPとして公開できれば、家庭内の機器のみならず屋外に設置されている自動販売機の商品残量検出や公共設備の監視もできるだろうとしています。
 このように、いちいち契約することもなく、そして空気のような存在のAPと通信料がかからないインターネット環境が整ったとき、果たしてどのようなサービスが実現できるのでしょうか。

 電力需給の安定化を目標にスマートメーターを行き渡らせるという施策は国策として進められています。それがまたIoT政策の基礎固めにもなっています。
 コスト的に無理だから、通信範囲が狭いからといった理由で実現性がないと思っていた良いアイデアがあれば、今一度考え直してみてはいかがでしょうか。

家庭用スマートメーター流用、IoTで自販機管理:日本経済新聞

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  1. […] る生活圏をカバーする安価なネットワークの出現の可能性について投稿しました。(「スマートメーター」)  構想通りに事が進めば、それと同じことが地球規模で実現できるかもしれませ […]

  2. chisou より:

    私の居住地も、ここでスマートメーターに替わるようです。計量法に定められた有効期限のタイミングで換装しているようす。
    回線は何を使うのか明記されていないのですがたぶん携帯電話回線かと。替えた後には30分ごとの消費電力量見える化が可能になるそうです。

  3. […] スマートという言葉を付けると”ネットワーク化された”という意味を持ちます。(「スマートメーター」)。住宅のIoTを適用したネットワーク化はスマートホーム(またはスマートハウス) […]

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