儲かるストーリを考案してそれが事業可能なとき、新たなビジネスモデルになっているかもしれません。ビジネスモデルについては他所でも詳しく解説されていますのでここでは割愛させていただきます。
記事の事例は街中にあるコインランドリーを広告収入で運営するというビジネスモデルです。記事中では”ストーリー”が大切であると言っています。換言すると、高確率で反復される行動パターンであり、そこに他の人が気づかない着眼点、先を読む先見の明を発揮せよ、ということでしょうか。
この事例で言うと、洗濯物を投入してから出来上がるまでの間、必要悪ともいえる”空き時間”が生じます。その時間に差別的なサービスを提供することでリピーターを増やしたり、広告を流すことでその広告収入により洗濯料さえ無料化するというビジネスモデルです。
コインランドリー利用の際に必ず繰り返される事象を逆手にとった戦略と言えます。
雑誌やテレビといったサービスを提供しているコインランドリーは普通にありますので、代わりに広告提供と聞けば些細な違いのように見えますが、普段でさえ高いと思っている洗濯代が無料になるのは驚きで迎えられると思います。本当に採算が合うのか心配してしまいますが、そこは企業努力ということでしょう。
これをビジネスモデル特許の形で表すとどのような手法が考えられるでしょうか。あくまで一例ですがご参考まで考えてみたいと思います。
フランチャイズ展開をしていたり、維持管理サービスを集約している、単価の高い広告を取ってくるといった業務形態での工夫は多く取り入れているのでしょうが、これらは人と人との間の取り決めに過ぎないため発明の必須な構成要件と捉えてしまうと却って発明を狭めてしまいます。立地条件も発明の明確化には貢献しますが権利範囲が広がるわけではありません。
最初にこの事業の物理的な構成を考えます。発明は自然法則を利用したものに限定されるからです。今回の事業実現のために加えた、従来のコインランドリー事業に無いものは何かに注目します。
- 広告を利用者に提供するための端末が用意されています
- 機器の不具合を遠隔で把握する仕組みがあります
- 全国のFC店に広告を配信する仕組みが構築されています
書かれてはいませんが、他にも
- 配信する広告の内容が地域ごとに、時間・季節ごとに自動で調整される仕組みがある
かもしれません。
これを踏まえて請求項を考えていきます。広告配信の仕組みがメインで、不具合情報収集機能がサブになりそうです。
見てお分かりのように、この時点ですでにコインランドリーは発明の構成要件としていません。従来型コインランドリーの商法や機器設備自体はすでに周知なので、そこを発明の要件として訴求するというよりは、先々の他の業界への応用も考慮して従来事業との有意な差異である構成要件だけを使って出願する発明のコンセプトを組み立てます。
コインランドリーの発明でなくても、要はそこが新規事業のアイデアを有効ならしめるために必要なボトルネックになっていれば良いのです。(「フィンテックアプリ」も参照)
将来も含めこの発明がどのように使われるか分かりませんので、権利範囲を厚くするために考え得る限りの種類・カテゴリの請求項を作成します。この事例の場合、方法の発明、システムの発明、プログラムの発明そして洗濯機の発明のそれぞれで書き表すことができそうです。
こうすることで全方向に権利範囲を確保することができれば、他者が入り込めない壁を築くことができるでしょう。
この経営者が言う「待ち時間というランドリーの欠点を特長に変えて街の活性化につなげたい」という発想を実現するために採った具体的な方策から、請求項の構成要件まで落とし込んでみました。気づきのための参考となりましたら幸いです。