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発明の発想法(その2)

投稿日:2017年4月26日 更新日:

 発明のネタはいろいろなところに転がっています。日常にある物であっても、たとえ高度な技術でなくても発明となります。

 以前に発明の発想方法の一例として投稿したことがあります。そこで製品開発の際には、その製品に利用する技術はあり物として考えましょうということを提案いたしました。(「発明の発想法」)

 今回はある時事ネタを教材として発明を考えてみたいと思います。

 添付の記事は俗に言うところの100円ライターの着火方式にまつわる話題です。現行販売されているライターは、「スライド式」「押し込み式」「やすり式」の三種類あるようです。
 機構的には「やすり式」⇒「押し込み式」⇒「スライド式」の順で複雑になるように思います。同じ100円で製造・供給するには「スライド式」が一番不利になるはずです。従って製造業者は「やすり式」のライターを選択して製造する傾向が高いと考えられます。

 しかしながら今回、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は「スライド式」を推奨しました。コスト高の機構について良いと言っているわけではありません、消化後の残り火の問題に対するリスクが一番低いことを理由にしています。
 「やすり式」も「押し込み式」もそれぞれメリットがあるはずです。今回の判断は、頻発する残り火によるやけどという一つの事故に対する対応として優れていることを言っています。

 こういった報告が流布されれば、多くの人は「スライド式」ライターを求めるようになり、店舗もそれ以外の方式のライターを置かなくなるでしょう。明確に使う側の扱いが悪かったとしても、風評的な被害は免れません。消費者はそういった指摘に対して敏感に反応するものです。

 何を申し上げたいかというと、製造者はわざわざコスト高な「スライド式」を選択しなくても、解決しなければならない課題が明確にわかっているのだからそれを解決するための安価な方式を考案すればよいのです。
 「必要は発明の母」という言葉がありますが、まさにその通りです。

 具体的には、安価に製造可能な構造の「スライド式」ライターを開発するか、もともと安価に製造可能な「やすり式」で事故が発生しない構造を開発するかの二択でしょうか。もしかしたらもっと素晴らしい解決策があるかも知れません。

 製造コスト、使い勝手をそのままに、使用後も栓が開いたままになるリスクを排除する方法を考えましょう。おそらくはライターでは使われることのなかった部品や、まったく異なる身近な製品でヒントがあるはずです。発想を柔軟にすることが大切です。

 「やすり式」、「押し込み式」及び「スライド式」も残り火が発生するのではという観点で設計されてはいないでしょうし、そんなことが起こり得ると考えていた人もいないと思います。着火の方式が複数存在するのはそれぞれが個別の目的があってそういった形が採用されているはずです。製品全体として見たときに「スライド式」だけが優れていて即他がダメということではありません。もしもそう思ってしまったらならば、発明の大敵である発想の硬直化を招くことになるでしょう。

ライター 残り火ご用心:日本経済新聞

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