フィンテック先進国に後れを取るまいと、国を挙げての支援の機運が高まっています。今回参院で可決された改正銀行法もこれを後押しするものです。
記事によると柱は二つあります。
一つは情報管理や財務の健全性保持を目的としたベンチャー企業の登録制制度、もう一つは金融機関である銀行システムへの接続網の開放促進です。
フィンテック(FinTech)は金融と情報通信技術との融合(「収益力向上のためにフィンテック」)により金融取引の効率化を狙うものでした。
未だ世の中にない新しいサービスは、預金口座を持ち金融取引を担う銀行が金融の基幹部分を押さえていますし、残りは技術力と発想力を期待されているベンチャー企業との組み合わせで構成されます。
銀行は銀行オンラインやネットバンキングサービスを提供していますので、そういう意味では競合関係にあります。当然として銀行の命綱である基幹システムにベンチャー企業を接続させたくないという心理が働きます。しかも昨今は金融テロのリスクも無視できなくなってきたこともあり、接続網の開放に対する嫌悪感は計り知れません。
フィンテック用にセキュアでオープンなAPI(「オープンAPI」)を用意するなど技術面から”嫌悪感”を希釈化するアイデアもあるのですが、法改正という手段でどこまで効果があげられるのかは未知数です。
銀行にとっては基幹システムは生命線ですので、アメをちらつかせるだけでは腰が重いはずです。
国にとってそうまでして腰の重い銀行にシステムを開放させたいのかを考えるとき、次の一文が参考になると思います。
金融システムを利用する一般顧客が銀行や新興企業が提供するフィンテックを使うときに用いるパスワードの管理が問題なのです。新たなフィンテックサービスが広まったとき、今のままではそれぞれのシステムで個別にID/PWを設けることになってしまいます。
すると多くの人は幾多のシステム利用時に入力するパスワードを”人的に”ワンストップ化するでしょう。耐性の高いパスワードをいくつも覚えることはできないからです。
これに対抗するには社会の金融システムにとっての弱点となる”枝葉”をつけ足してゆくのではなく、銀行システム自体、つまり金融システムを一本化する必要があると考えているのだと思います。
クレジットカード情報が洩れるなど個人情報の流出が度々報告される現代社会ですから、銀行の基幹部分をどれだけ強固に固めても”枝葉”のセキュリティが弱いところから情報漏えいすれば金融システム全体の崩壊につながりかねません。
銀行はリスクを取りたくないし、国は技術立国の実現とセキュリティの両立を図りたい、そしてベンチャー企業は。。。そういった相反するプレーヤーのせめぎ合いなのです。
面白いのは、この構図のなかに国民が出てこないことです。国民の利便性向上のためなどなど、国民向けの積極的な説明をあまり見掛けないような気がします。