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カスタマージャーニーの新たな始点

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 マーケティングの世界では様々な言葉が作られ、日々理論づけがされています。市場における購買促進という、人の動きや考え方を論理だって定義する領域だけに、数多ある理論に接するたびにキツネにつままれたような気分になるのは私だけでしょうか。

 新たな商品を市場に投入するとき、その製品の浸透の過程で辿る顧客の動向を説明するものとしてイノベーションカーブと呼ばれるものがあります。「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レートマジョリティ」「ラガート」というアレです。
 まず少数の”人柱”的な犠牲をもいとわない、新しもの好きで敏感な人たち、つまり「アーリーアダプター」が顧客に付き、その次に流行に敏感な一般の人たちである「アーリーマジョリティ」が登場する。この段階では人気に火が付き市場が急速に成長します。それを見ていた一般の人たちが次々と追従します。それが「レートマジョリティ」です。ここまで来ると需要もひと段落し、徐々に出荷数は減っていきます。そして日常的に長く使う人たち「レガート」が登場して、細く、長く需要を支えます。

 今回取り上げた記事はこのイノベーションカーブが成立しなくなってきている、あるいは横軸である時間軸が極めて短縮されてきているというものなのですが、中でもこの現象をカスタマージャーニーに求めた点が非常に気になりました。

 ”カスタマージャーニー”とは経済学的・マーケティング的に言うと正確な定義があるのでしょうが、簡単に言えば顧客の購買過程とでもいえるでしょうか。つまり”カスタマー”=商品を購入する顧客が、どのような過程を経てその商品に興味を持ち、購入し、体験するのかをジャーニー(=旅程)になぞり体系化したものです。
 イノベーションカーブが多数の顧客を対象にしたものだとすれば、カスタマージャーニーは一人の顧客を対象にしたものだと言えるでしょう。

 イノベーションカーブが急峻に立ち上がることを考えると、登場する顧客もまた変質し、それは”トライアルカスタマー”と”バーストマジョリティ”という集団に取って代わられるとされます。

 そしてこれら”トライアルカスタマー”や”バーストマジョリティ”を生み出す要因が「スマホ」であり、それを起点とする「カスタマージャーニー」に変化したという理論です。
 スマホがもたらす環境における”トライアルカスタマー”とは何か、それによって何故”バーストマジョリティ”が登場するのかは記事に譲るとして、ここでは「新しいカスタマージャーニーの始点」について書いてみたいと思います。

 本来のカスタマージャーニーの始点は、顧客がアーリーアダプターになるための導入部分です。世の中には知られていないけれども面白そうと思ってもらうための部分になります。簡単にいうと知ってもらうこと、「認知」です。どんなに新しもの好きであっても知らなければアーリーアダプターにはなりえません。
 スマホ以前は、現代のマーケティング手法とはずいぶん違っており、雑誌や新聞、テレビ、DMメールが主だった宣伝方法だったはずです。
 しかしながら、スマホの登場はさらなる効率的で効果的な手段によりそれを凌駕してしまいました。

 何が変わったのか?

 それはPush広告のような割り込んでくる情報提供手段と、顧客の嗜好分析に基づいた効果的かつ効率的なアプローチ手法の確立です。少なからず顧客側に探してもらわなければならない状況から、提供側から積極的に接近できるようになったということです。
 ここまでは”知らしめる”ための段階ですが、さらに即座に”体験する”ことが可能になったことも大きいでしょう。それはスマホアプリの無料配布(フリーミアム)だと言います。

 知ること - 体験すること - シェアすること(他者に知らせること)が高速に繰り返されます。もはや”ジャーニーの始点”は始まりも終わりも特定できな程あいまいで、高速化され、急速に増殖していきます。

 断片的には前々から指摘されてきたことですし、肌感覚でもわかっていたことかもしれませんが、こうして”カスタマージャーニーの始点”から指摘されると呑み込みやすいと感じます。

 さらにもう一つ、この記事の最後に記されている「スタートアップが避けるべき7つのアイデア」(記事より抜粋)というのが面白いので、興味のある方は読んでみてください。
 起業する際に陥りやすい錯覚を、冷静に考え直すには良いかと思います。

 ※本稿の元ネタは以下の書籍だそうです。記しておきます。
『起業の科学 スタートアップサイエンス』 著者 : 田所 雅之 出版 : 日経BP社

イノベーションカーブはもう古い 市場に火を付けよ:日本経済新聞

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