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TPPにおける知財合意

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 米国大統領選挙がひと段落しましたが、米国の離脱が濃厚になりTPP(環太平洋パートナーシップ)の発効に暗雲が立ち込めています。
TPPの合意内容は下記のURLでも簡潔に示されているため省きますが、その中に知的財産の取り扱いに関する大筋合意が含まれています。合意がされたといっても発効しているわけではないので、現時点ではあくまで今後の法改正案につながる事柄でしかないことに注意してください。

 TPPの目的は経済連携協定であり、世界のGDP(国内総生産)の約4割を占める自由貿易圏の実現です。なぜ貿易の促進のために知的財産権が関係してくるのでしょうか。もちろん、商売を有利に進め利益を上げるためには独占権である知的財産権の存在は欠かせません。

 ではなぜ貿易圏の構築、ルール作りに国家間の合意が必要なのでしょうか。それは知的財産に関連する法律が属地主義にもとづいているからです。属地主義とは自国の領域内で起きたことは、その国の法律に従うという考え方を言います。つまり日本国特許法と米国特許法はまったく別個の法律であり別個の内容を定めることが可能で、その国で製造、販売、輸入することは各国の法律に従うということです。
 特許権、著作権というと全世界共通のように思ってしまいますが、国際法と呼べるものはなく実のところ国によって保護対象や審査基準、罰則といった内容が異なります。自国内で商売をしている場合には同一のルールが適用されますので問題ありませんが、これが国家間の貿易となるとフェアーでないケースが出てきます。関税法も自国の利益、自国の産業を保護するためのアンフェアーな仕組みですが、やはり貿易を促進するためには障壁となる商習慣と言わざるを得ません。

 そこでTPPでは各国ごとに差異のある知的財産の取り扱いを平準化することで解決しようとしました。結論から言うと、TPPにおける知的財産がらみの大筋合意は日本にとっては不利益であると専門家の間で言われています。

 以下に大筋合意のうち主に日常業務に関係してくる事項について簡単にコメントします。

  1. 著作権に関する事項
    • 保護期間の延長
       著作権法に規定する保護期間は創作者の死後50年(法人著作物の場合は公表後50年)と定められています。これを70年に延長するというものですが、圧倒的な著作物輸入国である日本にとっては他国の権利期間が延びるというデメリットの方が大きいといわれています。
    • 一部非親告罪化
       現行法では私法の扱いのため親告罪が適用されていますが、これを非親告罪とするものです。親告罪とは原告(例えば創作者)の告訴が無ければ罪に問えないということを言います。逆に非親告罪とは刑法のように国が起訴できるということです。一見すると良いように思えますが思いもよらずに犯罪者となってしまう可能性があります。国策と他国に配慮した合意といえます。
    • 法定損害賠償制度
       著作権等知的財産権の侵害があったとき、その侵害によってどれだけの損害が発生したのかを算定するのは双方の言い分が食い違うことが多く実際には難しいのです。これを法的に定めようという内容です。権利侵害があったとき他国の商習慣も考慮して算定なければならないとなれば負担が大きいということもあって他国に配慮した合意です。
    • アクセス制限の回避規制
       ネット配信など不法コピーが横行している事態に対し、より効果的な規制を目的とした合意です。コンテンツ大国からすると他国の現状は見過ごすことができないことへの配慮です。
    • 二次使用料の請求権
       二次使用とは著作権法でいうところの著作隣接権にもとづいて販売等をする行為で、例えばアーティストに対するCDレーベルのような関係となります。CDレーベルもCD製造の対価としてではなく著作物販売(二次使用)に対する金銭を請求する権利を認めようとするものです。
  2. 特許権に関する事項
    • 存続期間の延長
       特許権の存続期間は原則として出願から20年です。特許法では権利となるまでには特許庁の審査が必要ですので、丸々20年の期間は得られません。審査期間が10年かかる場合もなくはないので、すると権利になったとしても10年しか権利行使できません。現行法でもごく限られた場合には若干の延長期間は認められてはいますが、これをさらに拡大しようとするものです。権利期間が長くなることは良いことのように見えますが、実態は属地主義にもとづく他国制度などによる不利益を回避するために設けるもので、他国権利の保護の性格が強い合意といえます。
    • 新規性喪失の例外期間の延長
       原則として公知になると特許権、実用新案権は取れなくなります。ですが一部の場合には例外的に権利を得ることができます。その期間は現行法では6か月ですがこれを1年に延長するというものです。米国でグレースピリオドと呼ばれる期間と同じであり、これも他国への配慮と思われます。そもそも例外期間が延びるということは自国の法的安定性を欠く結果となりますので良いこととは言えません。
  3. 商標権に関する事項
    • 法定損害賠償制度
       著作権の場合と同様、商標についても損害額の算定は難しそうだというのは分かるかと思います。特に輸出量の多い国はブランド力を重視することから設けられた合意内容です。
    •  

 上記したように、日頃から他社権利に注意しながら事業を行っている限りにおいてはTPPによる知的財産面での弊害は、一部の大手を除けばそれほど大きくはないはずです。

今さら聞けないTPP 基本がわかる18のカード 知的財産の主な合意内容

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  1. […]  TPP(「TPPにおける知財合意」)もそうですが、技術立国としての政府の危機感を感じます。 […]

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