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適正コスト

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 日本流の良いところとは何でしょうか?
 いろいろあるとは思いますが、よく言われるのは製品が高品質であること、諸外国と比べて細部にわたってサービスが行き届いていることでしょうか。この二つは製造業であるかサービス業であるかの違いがあるだけで、結局は同じ事を言っています。

 顧客が求めるか否かにかかわらず、日本人は”サービス精神”が旺盛だと感じます。それが文化の一部にはなっていますが、外国人から見ると過剰サービスのように感じるはずです。今回は生産品の品質水準とコストについて記したいと思います。

 まず、企業活動にはコストが伴います。生み出す品質が高ければ高いほど、それにかかるコストは上がるはずです。
 そして企業である以上、業務の継続性が必要です。一過性のキャンペーンのようなものもあって良いのですが常にその水準を保とうとすればコスト的に折り合わないはずです。十分な儲けが出ないような商売はありえません。
 逆にコストダウンを推し進めれば、同一水準のサービスも継続できるかも知れませんが、人的にも下請け先にも苦難を強いることになるでしょう。先般報道がされた、宅配業者の業務改善の話はここにつながっています。

 時短や増員で内部的な改善はできてもコストが増えてしまいます。そこで業務にかかる時間や手順を見直して、必ずしも必要としない業務量を削減しようという動きになります。連絡業務や各業務ごとの対応方法の見直しです。
 しかしながら、以前から業務改善に意識の高い企業ではそれなりに効率の良い業務手順が確立しているはずですので、それも思うように進まない可能性が高いです。

 そこでICTの活用ということになります。以前にも都の取り組みとしてICT活用の動きがあることを投稿させていただきました。(「ICTで競争力?」)
 日々の業務の流れを整流するシステムを導入し、連絡ミスや遅延に伴うロスの排除と既存データの有効活用および取引先や金融機関との連携を図る、という青写真を描きます。

 しかしながら、実際にはそういった市販のシステムを導入すればすぐに効果が出るというものでもないのです。それら既製品は一般的な業務には適合していても、それぞれの企業で商習慣がまちまちだったりします。カスタマイズというサービスもありますが、ただでさえ高額なシステムなのにやみくもに手を入れれば導入時”コスト”は青天井になり兼ねません。システム改修も含めた以後のシステムメンテナンスも必要になります。
 ICTを推し進めても、やはり”コスト”が障害となります。

 したがって、ICTの活用や業務改善もコスト構造の改善には限界があり、それも対応するにはほとんど余裕がないということになります。だとすれば取り得る選択肢は一つしかありません。サービス水準の適正化です。
 ”適正化”といえば聞こえはいいですが、見方によっては品質の低下につながります。企業競争力に影響するかもしれない一大事です。

 添付の記事では(1)現状のサービス水準を見直して「利益とサービスの両立」を図ること、(2)輸送方法の改善である「モーダルシフト」、(3)他の顧客満足度を高める「ビジネスモデル」の確立を提案しています。

 私見では、サービスの利用者自身にさらに自由度を与え、多くの部分を利用者側で行うあるいは完結できるようなビジネスモデルもあって良いと思います。的確な表現ではないかも知れませんが、何らかのコミュニティが形成され、各自がロールプレイングするような自律的に機能するSNSのようなマーケット。
 スマートフォンが普及し、端末操作もいとわない世代が増えているのを見ても、その素地は十分あると考えます。事業者として、従来業務の一部を利用者側に安全に明け渡せる方法が確立できたとすれば、それは強力な発明になるはずです。

適正なコスト、見極める時代:日本経済新聞
日本流サービス 持続の条件:日本経済新聞

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