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パテントトロール

投稿日:2017年2月10日 更新日:

 特許のような知的財産権は先進国では法的に守られています。守られているものは実施や使用、差止、そして損害賠償請求です。守ることによって、最終的には産業の発達を促進することを期待されています。

 表題の「パテントトロール」ですが、”トロール”というのはRPG(Role Playing Game)ではおなじみのそれと同じです。これにパテント(=特許)という接頭語が付くと、”特許の怪物”のようなものになります。
 では”特許の怪物”というのは何でしょうか?
 私からすると。トロールというようはギャングの方がしっくりくるように思います。下に添付の二つ目のリンクに解説がありますが、いわゆる物言う特許管理会社のことです。

 特許管理会社というのは次のような性質があると思います。

  1. 保有する特許の維持、売買およびライセンス(使用許諾)をする
  2. 管理業務のみで生産活動はしない
  3. 生産活動はしないのでみずから特許出願はせず、必要なら買ってくる

 これらは特許に特化した管理会社ですからある意味当然です。
 また、特許権などの知的財産権は財産権に分類される権利については、物と同じように売買が可能です。財産ですから、売買に関しては所有権を持っている人が自由に行うことができます。発明者が誰であるかは関係ありません。その特許の購入者がみずから行う事業に使用するかどうかも全く関係ありません。
 実はこういった財産と同様に特許権が扱われることこそがパテントトロール問題の原点なのです。

 たとえば競合する同業他社Aが製品の製造に深くかかわる技術を発明し特許Bを取ったとします。Aとは友好的な関係にあったので暗黙の了解で特にとがめられることなくその技術を用いて操業していたものの、Aが資金繰りが悪くなったたために特許Bを特許管理会社Cに売却して資金を調達しました。Cは当社製品が特許Bにかかる技術を使用して製造されていることを知り、Cから特許侵害にもとづく販売差止を受けるとともにライセンス料(特許使用料)を請求されました。
 ライセンス料を支払えば操業が継続できますが、払わなければ製品を製造できませんから、そのときは廃業を余儀なくされます。これは特許権の当然の権利行使ですので何も問題はありません。
 しかし提示されたライセンス料が法外なものであったり、利潤を上回るような額であれば、製造を続けることはできませんのでやはり廃業です。

 このとき操業を続けるためには二つの選択肢が考えられます。

  1. 交渉してライセンス料を下げてもらう
  2. 他の知的財産権(カウンター特許)を提示してライセンス料を下げさせる
  3. 特許Bの無効理由を探す

 実は選択肢aとbは、前述の性質2と3から望み薄なのです。なぜなら選択肢aはCに対し温情を求めるものですが、Cにとっては温情を掛ける理由がないからです。選択肢bについても、Cは製造を行っていませんから、どんな特許を当てられたとしてもみずからの事業継続には何の支障もありません。要するにCには”弱み”がないので法的に守られながら、当然の権利としてライセンス料という収益のみを得ることができます。
 ここまで聞いていると、何か変だと思いませんか。知的財産権はそもそも産業の発達を目的として制定されたはずなのに、既存の業者が廃業に追い込まれたりライセンス料が高額で新規参入するのに障壁が高くなったりすれば、却って業界の妨げにもなってしまいます。それでいて管理会社Cは製品を製造しないわけですから、産業になんら貢献もしていません。
 これが記事に言うところの、特許権を用いた訴訟制度の悪用ということになります。

 そこで選択肢cを検討すべきなのです。これは無効理由、たとえば発明される前に刊行物に記載されていたとか、出願時に本来の発明者が漏れていたなどの瑕疵の事実を探すことです。それが見つかれば特許Bを無効にできる可能性があります。たとえ無効にできなかったとしても弱体化できればライセンス料を下げることはできるはずです。保有特許により収益を上げている管理会社Cにとっては、保有特許という商品の価値を下げられるのが一番困るのです。

 下の一つ目のリンク記事では、大手IT企業の保有特許を第三者が使えるようにしてパテント・トロールに対する「抑止力」効果を期待する、とあります。本当のところ、どんなにカウンター特許が増えようが製造事業を行わない特許管理会社に対しては決定打になり得ないと思うのは私だけでしょうか。

マイクロソフト、「特許の怪物」から顧客保護:日本経済新聞
パテント・トロール 訴訟制度を悪用:日本経済新聞
日本企業も標的の恐れ:日本経済新聞

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