「街中のIoT」というタイトルで生活面でみたときのIoTの広がりの可能性について投稿しましたが、今回は正統派ともいうべき製造業のIoTについてお話をしたいと思います。
添付の記事は映像情報なのですが、家電製造工場で使用されているIoTの適用例が報告されています。
NC(Numerical Contril)やMC(Machining Center)のように、すでに生産機器自体がネットワークで管理されている製造現場にあっては珍しいことはないのですが、セル生産(U字ライン・一人生産方式)にまでもIoTを適用している点に注目しました。
対機械であればIoT化するのは想像できますが、基本的には人が携わって組み付けなどの工程をこなすセル生産をどのように効率化するのか。
ラインの稼働率向上、不良品を産まない品質管理という意味で「あんどん」が広く使われてきました。これは作業者が迅速にエラーを認識する(自働化)ための方法であり、「あんどん」情報をネットワークで収集すれば生産を数値的に解析することができるでしょう。
しかしながら今回紹介されている工場では、作業者が部品をピックアップする動作をIoTセンサーで検知することで作業手順に沿わないことをしたことまで情報として取り込もうとしています。人の規定外動作も生産効率の低下につながる”エラー”として評価するのです。
セル生産は機械による自動化が難しい工程、生産量が少量であるなどの理由で人が行った方が良い場合によく用いられています。その作業者の手元さえもセンスして、生産効率向上のために数値化しようとする施策をみて、ついにここまで来たかという印象をぬぐえません。人が万能な機械と同じような扱いになってしまいます。
とはいえ、単純作業者や指導員の負担を減らしたいという意図からやむを得ない事情もあるようです。
映像の中では、的確な時期に目の前のディスプレイを通じて体調を尋ねるなどといったケア面の配慮もされているようです。手元の様子をセンスしていれば動作が遅くなってきたり、部品誤りが多くなってきたこともつぶさにわかり、作業者の体調異変もすぐにわかるかも知れません。
これもまた製造系IoTの、効率重視なだけではない使い方の一つと言えます。