昨年、2016年度の、日本特許庁への工業所有権出願件数のデータに関する記事が出ています。顕著な傾向として商標出願が伸びているとのことです。
特許庁の分析では中小企業にブランドを育成・保護する動きが活発になっているのではと言います。それは海外進出・海外展開に向けて、日本ではまだそれほど顕在化していない模倣被害の防止や、事業で獲得したシェアを有効に生かすという戦略が見え隠れしています。
日本市場も例外ではありませんが、特に基盤の弱い海外市場であればやはりブランド力を高めることが業績につながることは確かでしょう。
全体では1割の増加、中小企業で見れば2割増という状況とのことです。
一方、特許出願は減少傾向にあるようです。同庁の分析では権利化・維持のコストに耐えられず権利化する発明の厳選が進んでいるとみているようです。
確かに特許権を得るための出願費用も思いのほか高額で、うまく権利化できたとしても投資額以上の収益を上げられるのかが見えにくいため、資金繰りが悪くなると減ってしまうのはやむを得ないことです。
特許権の行使、権利移転で収益を上げることが難しいという現状を良く表していると思います。
また、産学連携・技術移転政策(「産学連携」)の表れでもあるのですが、大学・研究機関での特許出願が増加傾向にあると言います。
大学や研究を主な目的とする団体は、権利化した特許を直接実施(たとえば権利にかかる製品の製造、販売)することは考えにくい。するとたとえ権利を取得してもそれから収益を上げることは実は難しいのです。
研究を業務とする大学としては、特許権の価値評価のノウハウ無く、トレンドの最前線を走る企業と対等に交渉できるものではありません。
研究の成果として権利化するのは正当な考え方ではありますが収支の面ではペイしないということで、以前から出願自体を控える傾向にありました。
いろいろな見方はあるでしょうがこれらの結果に特段意外性はなく、企業における知的財産の運用傾向と合致する結果が出ていると考えます。