以前にも投稿しました不正競争防止法に基づく個人情報の保護(ビッグデータの法的保護(その2))についての続報、その3です。
不正競争防止法に基づいて個人情報を保護しようとする場合、常々疑問視してきたことではありますが、何を境目として”不正行為”とみなすのかが問題となります。個人情報を使うこと、あるいは個人情報の使い方に対する不正とは何かを定義する困難さが伴います。
今回の記事では産業構造審議会(経産相の諮問機関)を設置し、不正競争防止法の改正について検討を始めたとあります。
記事にもあるように、個人情報のすそ野の広がり具合に確定的な線引きが出来ないことが潜在的な課題となっているように思います。
さて、何を検討することになっているのか、その方向性について見ていきます。
- 営業秘密でなくてもデータが不正に取得された場合は、利用差し止めを求めることができる
- ホームページで制限や利用条件などを設けずに公開しているデータなどは保護対象として扱わない
前者は、”売買されるデータは不競法の「営業秘密」には該当しない”という命題を回避するための施策です。不正競争になる行為はあくまで秘密に管理された秘密(「営業秘密」)を不正に取得した場合を想定しています。
その情報の保有者の行為により譲渡された情報は営業秘密に相当せず保護対象とならないという従来の解釈では、データを保有する者にとっての枷でしかなく、普及とは相いれないものでした。
そこで不正取得にかかる「営業秘密」の範囲を拡大するに際し、不正取得の認定が困難であるという実情に鑑みて、一定の方針を定めるということのようです。
後者はIoTの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)化に伴う個人情報の爆発的な拡大をけん制するための指針といえます。
もしも「個人情報」を、現代社会構造の中で額面通りに解釈してしまうと、そのほとんどすべての情報が個人情報となってしまう危険性があります。まるで著作権のような状況が見え隠れしてきます。(ただし、ビッグデータとは異なり、著作権には保護期間という終期が設けられていますが)
私見では至極まともな認識であり、企業等の営業上の安心材料であると考えます。