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戦うボット

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 「ボット」とは一般的にはインターネット上を動き回って特定の目的の仕事をするアプリケーションです。クローラとも呼ばれます。
 動き回るといってもワーム(worm)のようにコンピュータを転々と移動するのではなく、主にインターネットを介してある検索作業をするものです。

 添付の記事のタイトルに興味が湧いたため拝見させていただきましたが、某インターネット百科事典サイトのコンテンツがボットによって編集されているとは驚きでした。
 検索可能なコンテンツ情報は常に人間によってメンテナンスされているものと思っていたからです。人が修正・加筆するものであれば、特定の人間の恣意がが入り込む余地があるわけで信ぴょう性はほどほどという認識でした。コンテンツ内容の真偽は閲覧した人間が「訂正」という作業を通じて高まっていくというスキームなんだと。

 某サイトの場合、修正を担うボットは複数あって、複数のソースを元に「編集」を行うようです。従ってボット同士で内容が異なるケースも出てくるということで、ボット同士で訂正し合う=戦うことがあるとのことです。

 ではボットが正しいと考える情報ソースはどこから得るのでしょうか。明確に記載はないものの、やはりインターネット上に存在する情報から得ているようです。そしてボット同士が一つのコンテンツの編集に対して”戦う”ということは、意味解釈での相違ではなく、インターネット上には”複数の真実”が存在しているということでしょう。
 ここで気になるのは、そうして得られる情報が果たして正しいのか、という疑問です。

 裏を返すと、インターネット上で拾える情報が多勢を占めるようになると、その事実が真実にとってかわる可能性があるということです。大衆の事実認識が変わったのだとするならば、もはやそれが間違っていると否定することもできないのかもしれません。インターネット上においては多勢は力です。

 記事中で「嘘は真実と同じくらい簡単に複製できる」と書かれています。このスキームに従うならば、インターネット上で確からしく風潮すれば嘘を真実にすること、世論を操作することは簡単だということです。(「世論形成」)

 記事にはもっと書かれています。

 進化の主体であるレプリケータ(自己複製子)は、生物学的な遺伝子情報(第1世代)から人による文化的な進化(第2世代)を経て、次の世代のレプリケーターに移っていると言っています。その第3のリプリケーターが、自ら情報を構築する能力を獲得したボットによるものではないかということです。レプリケータを「変化と選別を伴ってコピーできる情報」と定義すれば納得です。

 何が正しくて、何が誤りなのか。インターネット上に情報が溢れている現代では、選別すること自体が困難なことのように思えます。もはや真偽自体があまり意味のないことなのかもしれません。その時々に応じて自分自身で選別していくしかなさそうです。

[FT]戦うボットを人は知らない:日本経済新聞

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