無形の知的財産を保護しようとするのが工業所有権法ということになりますが、ビッグデータにも知的財産としての権利を認めようという動きがあるとのことです。
知的財産は普通に考えると技術的思想の創作であったり、創作的な表現であったり、人の何らかの創造力に拠る部分が必要と思われます。しかしながらビッグデータは社会的、自然発生的に生じてくるデータを収集したものであって、そこには人が創造したものが含まれる余地はないように感じるのです。
ビッグデータとは特定のソースから得られた情報の集まりとするならば、それを保護するということは情報流出の防止ということになると考えます。すると従前の考え方ではトレードシークレット、つまり不正競争防止法で規定される営業秘密に該当するのではないかと思います。誰かが収集した秘密にしていた潜在的に価値のあるデータを盗み出されたという観点です。
この記事を見ますと、営業秘密としてではなく明らかに知的財産の枠組みで保護しようとしています。ビッグデータが”単なるデータの集合物”としてではなく知的な創作を含むものであると考えるとき、果たしてどのような権利侵害やそれに対抗するための保護手段が考えられるのでしょうか。
以下の記事では次のようなことも記されています。
ビッグデータが広く使われることを想定して登録制を採ることとともに、所有者には使用許諾、差止請求権を認めるという趣旨のようです。
もしもビックデータが不正競争防止法による営業秘密に属する情報であるとするならば、
さらに別の記事には、
のように「知財として保護」と書かれています。たとえば営業ノウハウは人の活動の中で築き上げた人知という知的財産と考えてもよさそうですが、ビッグデータは少なくとも営業ノウハウと同じ類のものだと言えるでしょうか。そもそも不正競争防止法で保護する対象を”知財”と称するのは、条文上も記載がなくいささか無理があるのでは。
依拠する法律は「不正競争防止法」であり、これを改正して対応するとのことです。これを見る限り、従来の営業秘密の枠組みをビッグデータに限り公開利用可能にする条文改正をするのではないかと思われます。
この枠組みで公開した場合に、すぐ直面することになるであろう他の課題もあります。
原データの形で漏洩が確認できたときにはまだ良いとして、たとえばそれが加工された形で公開されていたとしたら差止や損害賠償は可能なのでしょうか。またそれがビッグデータを使って導き出された法則だったらどうなのでしょうか。
ビッグデータの性格上、データのままでは価値が見えづらく適切な加工をして始めて有益な意味のある情報になります。従って原データの形で流通させる需要はさほどないはずです。
さらには、不正取得の疑いのある情報が、漏洩したデータを使って得られた結果(派生情報)であるか否かを確定するのは極めて難しいでしょう。そう考えると「営業秘密」の場合と比較して出所の特定が難しく、派生情報まで保護対象としたとしても実効性は薄いと思ってしまいます。
ビッグデータを知的財産と同様に扱うことに無理があるのではないかと考えるとともに、特許でいうところの製法特許や方法特許について侵害判定をする場合と同様に差止などの権利行使もし難いでしょう。
[…] 不正競争防止法によるビッグデータの保護に関する続報です。 「ビッグデータの法的保護」 […]
[…] 不正競争防止法は以前の投稿でも取り上げたように(「ビッグデータの法的保護」)、現在は有効な保護手段の無いビッグデータを保護しようとするものです。 […]