世界知的所有権機関(WIPO)が2016年度の国際出願のランキングを発表しました。
ここでいう国際出願とは、多くの国が加盟する特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく出願で、一つの出願願書を条約に従って提出することによって、加盟国すべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える国際出願を指します。
先の投稿で、法律には属地性があると言いました。法律は各国それぞれに存在するため、ある国で権利行使したければその国の法律によって付与された権利を取得しなければなりません。
特許権で言えば、権利が必要な国のすべてに対して特許出願し、各国ごとに異なる審査基準をクリアして権利にしなければなりません。グローバルに商圏が広がっている現代では複数国対応が必要であるにも関わらず、複数国に対する適時の出願は思いのほか大きな負担となります。そこにPCT国際出願の存在意義があります。
このときの”加盟国すべての国に同時に出願したことと同じ効果”というのは最先の出願日(優先日といいます)が各国の出願日と認められることです。
それ以外にも予備的審査情報の提供を受けることができます。それを見て公知例がありそうと判断できれば無駄な費用の支出を避けることが可能です。
ただ、最終的にその国で権利を得るにはそれぞれの国の法律によって国内と同様の審査を受ける必要があります。(国内段階移行といいます)
そういう意味では権利化費用を削減するための制度ではありません。
そういった性質の出願ですから、特定の国内需要に限定されない世界各国で使いたい発明の出願が多くみられます。国際出願件数をみると出願企業の外国志向が見えてきます。
記事で紹介されている企業を見ると、果たして世界的に事業を展開しているところが多く、しかも中国などアジア勢の健闘が目立ちます。
個別に国内出願したときと比べても権利化までの費用が余計に掛かりますので、本気で世界展開を考えているアイデアでなければ無暗に使う制度でもありません。企業別の世界志向を図るバロメータとして見ていただければ良いと思います。
[…] と同様の扱いをする(最恵国待遇)必要はありません。 実際にはパリ条約、PCT(「国際出願ランキング」)そして発効が危ぶまれるTPP(「TPPにおける知財合意」)といった国家間条約で出願 […]
[…] このHPでも過去に何回かランキングのご紹介をしていきました。 「国際出願ランキング」「IoT出願数」「米国特許の取得ランキング」 […]