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PPH

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 添付のような記事が掲載されていました。記事のタイトルだけ見ると、一体全体何のことなのか分からないと思いますが、ニュージーランドに対してもPPHが始まることを言っています。

 PPHとは「特許審査ハイウエイ」と呼ばれるもので、Patent Prosecution Highwayの頭文字をつなげたものです。
 国際的な取り組みで、各国の特許庁間の取り決めに基づいて、先に審査した国の特許庁で特許要件を満たしていると判断された発明を、出願人の申請により、そのあとに出願された他国の特許庁において早期審査が受けられるようにする枠組みです。
 国際的な取り組みではありますが、以前お話しした国際出願(PCT)などとは関連はなく、あくまで各国特許庁の取扱いについての取り決めです。

 何が良いかと言えば、出願人にとっては優先権を伴って後から出願した他国の審査がスピーディに進むということですし、実際に審査をする特許庁にとっても実は大きなメリットがあります。他国の審査とはいえすでに審査を終えた審査結果の提供を受けることができますので、一から公知例等を探したりしなくて良いのです。このように他国の審査結果を共有できるのも、各国の審査基準が世界公知となっているということも関係しています。
 審査能力の低い特許庁も少なからずありますので、そういった国にとっては品質向上とコストの削減が同時に実現でき、特許大国の出願人にとっては審査不十分な状態で権利化されて後発的に権利取消となるリスクが低くなるだけでなく、権利行使可能となるまでの大幅な期間短縮が期待できます。

 以前、少しだけPPHについて触れたことがあります。(「SDV特許」)
 このときは記事に登場した米国特許がこの制度を利用して短期間に権利化されています。先ずは日本で出願され、それを基に米国に出願しています。あくまで出願人の申請が必要な特別な制度です。
 ではPPHを申請しなかったらどうかと言えば、その国に出願したのと同様の通常の審査手順で進むだけです。PPHは他国の審査官の審査を拘束することはないとされているものの、PPHを申請しなかった場合、先の出願の結果は全く考慮されることはなく一から審査されるため、場合によっては不本意な評価を受けることもあると思います。

 PPHは国際的な早期審査の取り決めです。日本国内だけの取扱いですが、日本出願に対して適用される早期審査というものもあります。これを受けるには同じ内容の出願を外国にもするような、いくつかの要件が必要です。さらにはスーパー早期審査というものもあります。

 各国特許庁とも、審査期間の短縮は国際的な優位性を確保しするための重要なファクターである、という認識で一致しています。

日本で取得した特許ニュージーランドで審査短く:日本経済新聞

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