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ドローン規格

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 標準規格が金銭に密接に関連していることは以前投稿しました。(「特許使用の特定」)

 若干古新聞になりますがドローンについての規格を策定しようとする政府主導の動きがあるようです。
 ドローンは一種の小型のヘリコプターで、複数のローターを備えていて小型でも姿勢制御能力が高くホバリングも安定した飛行が可能です。人が乗ることを目的に設計されたものではなく、カメラを搭載して空撮するために使用されることが多いです。大手の通販サイトが配達に使用しようとする動きもありますが、果たして実現するのかどうか分かりません。

 ドローン普及のための課題は、以前にも首相官邸や催し開催中の人混みにへ墜落したりする事故があったように墜落の危険性が指摘されています。免許制でもないので習熟していなくても飛ばせることも一因ではありますが、飛行させることに関して規制やルールがないことが最も問題です。

 一般にドローンが普及する以前からも飛行機やヘリコプターのラジコンは存在していました。確かに墜落するなどして事故はあったかと思いますが、大きな報道になることはなかったはずです。それはラジコン飛行場と民家密集地を自主的に分離して運用していたからです。自主的にではありますがこれがルールです。

 これに対し、ドローンの利用シーンを考えると「人の集まるところで運用したい」という要請が強いことが分かります。個人であっても企業であっても、今まで体験したことがない映像を撮影したいために導入することが多いのではないでしょうか。

 考えている規格の内容の一部が紹介されています。衝突防止と管制システム機能、そして憶測ですが直接的に墜落につながるバッテリー切れや自動帰還機能の搭載などが盛り込まれると考えられます。そういった機能を備えないドローンは飛行できないか、飛行エリアや時間が制限されるという骨子になるのではないでしょうか。

 国としてこの規格策定を進める理由は記事にも書かれていますが、国際規格化による日本の優位性を確立するためです。もしもそれが実現すればどの国のドローンもこれに従って製造され飛行させることが必要になるでしょう。
 まさに携帯電話規格や、今やデファクトスタンダードとなったCPUなどと同じようになります。つまりその規格に準拠するためには日本企業が製造するシステムやモジュールを搭載しなければならない、といった流れが呼び込める可能性があるということです。

 標準規格の策定について主導権を握るということはより良い規格内容とする以前に”策定者に都合の良い内容”とすることが大切です。しかしながら身勝手な内容ばかりでは標準規格には採用されませんので、そのあたりのさじ加減やロビー活動は最も大切なことです。

 ちなみに国際規格は数多あるのですが、ここでいう規格はISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が策定するISO規格のことです。
 ISOでは様々な規格を策定しています。たとえば企業のPR文書などで”ISO9001取得”などという文言を目にすることがありますが、これはJISのような工業規格というよりは品質マネジメントに関連する規格で、マニュアルを備えてきちんと管理できていることなどが審査され、企業の営業所などが国際機関より認定されるというものです。

 事業を行うとき”規格”は無視しては通れません。ならば”規格”を規制事項とは考えず、自らの事業に流れを呼び込むツールとして活用すべきです。規格がある限り、誰もがその場所を通らなければならないボトルネックであるからです。

ドローン規格 日本から:日本経済新聞

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