IoT(Internet of Things)が提唱される前には、ビッグデータという言葉が流行していました。計算機処理の能力向上に伴い、一つ一つの情報は些細で整理されていない雑多な無価値に思える大量のデータだけれども、それを方向付けてあるいは方向性を探るために評価することが可能になってきました。自然現象の解析から、顧客の購買動向まで応用範囲の広い考え方です。客観的に観測値の数量を増やすことで、所定の理論の検証や未知の何かを発見しようとする試みです。
大量の端末からデータ収集が可能となるIoTの概念を実現できそうだと考えられるようになったのは、このビッグデータの処理技術があってのことです。
企業活動を支援する情報システムといえば、古くはEUC(End User Computing)から始まり、DSS(Decision Support System:意思決定支援システム)を経てSIS(Strategic Information System:戦略的情報システム)へとつながります。この後はさらに効率的な経営を目指し、企業活動の様々なプロセスを取り込んでBPM(Business Process Management)となり、取引先との連携も含めてSCM(Supply Chain Management)へと発展してきました。この先どれだけ進むのか見当もつきませんが、残念ながら企業経営のICT化というものは未だ完成されていないのではないかと思います。
上記の試みはどちらかというと自身でコントロール可能なテリトリにある仕入、製造、販売までのプロセスをICT化してきたと言えます。一方、ビッグデータ、殊に公共のビッグデータについては顧客側の動向をシステマティックに商売に役立てようという考え方です。もちろんそこにはプライバシーという守らなければならない枷は必要です。有用だからといって誰でも自由に使うといういことも許されません。
以前、交通系電子マネーによる電車利用客の乗降データを企業戦略に役立てるための基礎データとして販売しようとしたことがありましたが、法的には問題ないと判断されたものの一般からの強力なクレームにより断念した事件がありました。
つまり自社内に閉じた情報ではない一部のビッグデータはIoTの結果得られる情報であり、よってIoTを推し進めることは個々人のプライバシーの侵害につながりかねない問題でもあるのです。ビッグデータ、IoTそしてフィンテック、それぞれ言葉も階層も異なりますが、乱暴な言い方をすればこれらは同じ概念であり同じような課題をはらんでいると考えます。
[…] 以前ビッグデータについて記載したことがあります。(「公共ビッグデータ」) これらのデータは日々の活動の中で細々に発生する情報です。プライベートなものもあれば公共のもの […]